R2-2020年度皮膚科専門医認定試験問題 61-80

令和2年度(2020年度)皮膚科専門医試験

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選択問題

問題 61.2 歳の女児.生後 10 ヶ月時に Gaucher 病 II型と診断されている.神経障害・嚥下困難のため,長期間にわたって経腸栄養管理中であった.最近になって母親が爪が白いことに気がつき相談を受けた.手の爪の所見を図 18 に示す.足の爪も全趾が同じ所見を示していた.原因となる不足している元素はどれか.

1. 銅
2. 鉄
3. 亜鉛
4. セレン
5. ベリリウム

4

  1. 知的障害,嘔吐,下痢,タンパク漏出性胃腸症,色素減少,骨変化,動脈破裂,毛髪の縮毛など
  2. 匙状爪
  3. 爪囲炎やBeau’s line(横走する白線)を生じる.亜鉛欠乏症も参照
  4. ○ 爪全体が白くなる.
  5. ✕ 有害ミネラル
セレン欠乏症
  • 静脈栄養,経腸栄養,透析などでセリンが欠乏すると,爪が白くなったり,脱毛皮膚炎を起こす.
  • 心疾患・免疫力低下・生殖能力低下

問題 62.2 歳の女児.体幹に見られる皮疹を図 19 に示す.経過中,皮疹に水疱が見られたことはなく,また末梢血の好酸球増多も見られていない.この患児にみられると予想される症状はどれか.

1. 断裂毛
2. 羞明・眼振
3. 光線過敏症
4. 精神発達遅延
5. 内臓悪性腫瘍

4

伊藤母斑 あた383 マルホセミナー「片側性やブラシュコ線に沿った分布を示す小児疾患」参照

発生過程に生じた染色体異常を持った細胞が,脳と皮膚に分布することにより,精神発達遅延とブラシュコ線に沿った色素異常パターンを示す.

問題 63.皮膚に静脈奇形(海綿状血管腫)を生じる疾患はどれか.2 つ選べ.

1. Maffucci 症候群
2. Sturge-Weber 症候群
3. von Hippel-Lindau 症候群
4. Osler-Rendu-Weber 症候群
5. 青色ゴム乳首様母斑症候群

1.5

Maffucci 症候群 あた405
  • 先天性の中胚葉形成不全
  • 皮膚や内蔵の脈管奇形と内軟骨腫をきたす.
  • 皮膚は静脈奇形(海綿状血管腫)が多く,毛細血管奇形やリンパ管奇形も見られる.
  • 内軟骨腫は四肢に好発し,皮下結節として認める.
  • 骨折による脚長差を生じる.
  • 青年期以降進行はとまるが,軟骨肉腫を30%で認める.
Sturge-Weber 症候群 あた400
  • 顔面の毛細血管奇形眼病変脳神経症状を古典的3徴候とする.
  • 一般に遺伝性はないと言われ5万人に一人程度の有病率.
  • 多くは顔面病変と脳神経病変のみを認める不完全型.
  • 皮膚;生下時からみられる,三叉神経第1,2枝領域の単純性血管腫(ポートワイン母斑).95%以上で皮膚病変がある.
  • 神経;約80%の症例で小児期からてんかん発作.顔面病変が存在する側の後頭葉の軟髄膜血管腫を有する.(Xpで脳回に沿った二重輪郭の石灰化像;tram-line calcification)
  • 眼;眼脈絡膜の血管奇形で緑内障や角膜径の拡大(牛眼)を認める.幼児期に生じることが多いが,生下時~成人に生じることもある.
von Hippel-Lindau 症候群
  • 常染色体優性遺伝
  • 脳脊髄の血管腫、網膜の血管腫、腎細胞癌、副腎褐色細胞腫、膵臓腫瘍
  • VHL病癌抑制遺伝子の異常
  • 一部の発症原因として遺伝子異常により遺伝子機能がなくなり血管新生因子を誘導する蛋白 (Hypoxia Inducible Factor)の過剰蓄積が腫瘍形成の原因とされる.
Osler-Rendu-Weber 症候群(遺伝性出血性毛細血管拡張症) あた404
  • 血管新生に関与するTGF-β受容体遺伝子(ENG,ACVRL1)の変異による.
  • 常染色体優性遺伝.
  • 全身の動静脈吻合部で血管拡張を生じる.
  • 幼少期~思春期以降に上半身に紅色小丘疹や毛細血管拡張が多発.
  • 反復性鼻出血が初期症状として重要
  • 肺動静脈瘻の破綻による喀血,血胸,消化管出血,肝硬変などを生じる.
青色ゴム乳首様母斑症候群 あた404
  • 静脈奇形(海綿状血管腫)が皮膚や消化管を主に多臓器に生じる
  • 常染色体優性遺伝
  • 境界不明瞭な青色斑や,暗褐色で弾力性に富むゴムまり様の腫瘤を全身に形成
  • 大きさは数mm~10cm以上
  • 生下時~学童期に生じ,増大する
  • 二次的に骨変形も生じる.
  • 大腸や,小腸に多発しやすく,出血による鉄欠性貧血や腸重積,出血死を引き起こす.

問題 64.70 歳の男性.3 か月前より,体幹・四肢に自覚症状のない浸潤性紅斑が出現し徐々に増加した.末梢血のスメアで,花弁状の核を有する異型リンパ球を認めた.また,血液中の可溶性IL-2Rが3,011 U/ml だった.本患者の体幹部の臨床写真を図 20a に,紅斑部からの皮膚生検組織像を図 20b,c に示す.表皮に浸潤している細胞は,CD3(+),CD4(+),CD8(-),CD20(-),CD25(+),CD30(-),CD56(-)だった.最も考えられる疾患はどれか.

1. Adult T cell leukemia/lymphoma
2. Anaplastic large cell lymphoma
3. Diffuse large B cell lymphoma
4. Mycosis fungoides
5. NK cell lymphoma

1

成人T細胞白血病/リンパ腫 あた437

  • くすぶり型,慢性型,リンパ腫型,急性型,急性転化型などに分類.
  • 日本においては九州に多い.世界では,カリブ海沿岸やアフリカの一部に多い.
  • 抗HTLV-1抗体陽性キャリアの生涯発症率は3-5%
  • 感染経路は母子感染,性行為感染,血液感染
  • HTLV-1は通常体内ではウイルス粒子としては検出されず,血液,母乳,精液の感染T細胞が侵入することで感染が成立する.
  • 末梢血の花弁状T細胞が特徴.

問題 65.皮膚 T 細胞性リンパ腫に対する治療薬ベキサロテンの副作用の中で約 80%以上の頻度でみられるのはどれか.2 つ選べ.

1. 高脂血症
2. 肝機能障害
3. 腎機能障害
4. 白血球減少症
5. 甲状腺機能低下症

1.5

皮膚悪性腫瘍ガイドライン第 3 版 皮膚リンパ腫診療ガイドライン 2020 参照

問題 66.悪性黒色腫について正しいのはどれか.

1. ABCDE 基準において A は atypia である.
2. in situ 病変でもセンチネルリンパ節生検が推奨される.
3. 組織診断において抗 CD45 抗体を用いた免疫染色が有用である.
4. Tumor thickness は顆粒層上層部から腫瘍最深部までの距離である.
5. ダブラフェニブ・トラメチニブ併用療法は術後補助療法としての保険適用がない.

皮膚悪性腫瘍ガイドライン第 3 版  メラノーマ診療ガイドライン 2019 参照

メラノーマ診療ガイドラインも参照

  1. ✕ Asymmetry,Border irregularity,Color variegation,Diameter>6 mm,Evolution
  2. ✕ in situはおろか,T1a 病変(TT<0.8 mm,潰瘍なし)には SLN への転移率が 5%以下として SLNB を推奨していない.T2a 病変や病期 II(TT>1 mm,any feature,N0)で話し合いの中で提案する(discuss and offer),T1b 病変(TT<0.8 mm,潰瘍あり,TT:0.8~1.0 mm)では話し合いの中で考慮する(discuss and consider)となっている.
  3. ○ 顆粒層上部が欠損している場合は,潰瘍底から測定する.
  4. ✕ ダブラフェニブ(BRAF阻害)+トラメチニブ(MEK阻害),ニボルマブ(抗 PD-1 抗体),ペンブロリズマブ(抗 PD-1 抗体)が保険適応

問題 67.乳児血管腫(苺状血管腫)に対する治療として誤っているのはどれか.

1. α ブロッカー内服
2. 手術療法
3. 圧迫療法
4. 経過観察
5. ステロイド内服

1

あた421 血管腫・血管奇形・リ ンパ管奇形診療ガイドライン 2017 参照

  • 生後3-4週間から鮮赤色かつ隆起性の病変.6~7ヶ月まで増大
  • 顔面や腕に好発し,数年で柔らかい瘢痕を残して自然消退.
  • 学童期までに大部分が消失する.
  • 組織でGLUT-1が陽性となる.
  • 大半が経過観察でよいが,生後6ヶ月を過ぎても増大して潰瘍をつくるものや,口唇,眼瞼に生じたものは積極的な治療.
  • プロプラノロール(βブロッカー)内服,ステロイド全身投与,レーザー治療など.
ヘマンジオルシロップ(プロプラノロール)シロップ
  • 1日1mg/kg~3mg/kgを2回に分け,空腹時を避けて経口投与する.
  • 1mg/kgから開始し,2日以上の間隔をあけて1mg/kgずつ増量し,1日3mg/kgで維持する.
  • 出生後5週未満の乳児に対する安全性は確立していない(使用経験がない).
  • 低血圧,低血糖,気管支痙攣に注意.
  • 喘息,低血糖,徐脈,末梢循環障害,褐色細胞腫には禁忌.

問題 68.70 歳の男性.最近自覚した図 21a のような皮膚所見で受診し,CT 検査を行ったところ図 21bの所見が見られた.最も適切な治療はどれか.

1. 外科的切除
2. 放射線照射
3. パクリタキセル点滴
4. インターロイキン-2 点滴
5. インターフェロン β 局所注射

3

頭部血管肉腫 あた463 皮膚血管肉腫診療ガイドライン参照

  1. 肺転移のある頭部皮膚血管肉腫に外科的切除は適切ではない.
  2. 放射線は,緩和的に使用することはあるが,第一選択ではない.
  3. ○ 化学療法はパクリタキセルが第一選択.
  4. インターロイキン-2を単独では行わいないことが推奨されている.
  5. 悪性黒色腫の治療のひっかけ.

問題 69.下記の中で,自然消退傾向のみられない皮疹はどれか.

1. 蒙古斑
2. 色素失調症
3. 乳児血管腫(苺状血管腫)
4. 先天性血管拡張性大理石様皮斑
5. ポートワイン母斑(単純性血管腫)

5

蒙古斑 あた383
  • 先天性真皮メラノーシス
  • 黄色人種の乳幼児でほぼ100%,黒人で80~90%,白人では約5%でみられる.
  • 生後2ヶ月頃までは青色調を増すが,その後退色にむかう.
  • 通常4~10歳程度で消失.
  • 褐色調を混じることがない点で太田母斑と異なる.
  • 腰臀部以外の顔面や四肢に生じたものを異所性蒙古斑という.
  • 組織は真皮中層から下層にメラノサイトの増加を認める.
色素失調症 あた398
  • Bloch-Sulzberger症候群
  • 生下時から生じる紅斑,水疱→丘疹→色素沈着→消退という特徴的な経過をたどる.
  • NEMO(NF-κB essential modulator)遺伝子変異によるX連鎖性優性遺伝で女児に多い.
  • 大部分の男性児は胎内死亡.
  • 予後はよい
  • 眼病変が約30%で片側に生じる.斜視,白内障,視神経萎縮,網膜剥離,失明.
  • 中枢神経症状として,てんかん,精神発達遅延,小頭症,水頭症など
  • 歯牙形成不全,骨格異常(多指症)など

水疱期 疣状期 色素沈着期 色素消退期
  • 生下時~2週間に水疱が生じ数日から数ヶ月で治癒
  • 好酸球浸潤
  • 6ヶ月以内に消失することが多い.
  • 成人まで持続することも
  • 疣贅状表皮母斑に類似
  •  6ヶ月から目立つ
  • 渦巻状,マーブルケーキ状
  • 真皮メラノファージ増(組織学的色素失調)
  • 思春期までに消失
  • メラノファージの減少
乳児血管腫 あた421
  • 生後3-4週間から鮮赤色かつ隆起性の病変.6~7ヶ月まで増大
  • 顔面や腕に好発し,数年で柔らかい瘢痕を残して自然消退.
  • 学童期までに大部分が消失する.
  • 組織でGLUT-1が陽性となる.
  • 大半が経過観察でよいが,生後6ヶ月を過ぎても増大して潰瘍をつくるものや,口唇,眼瞼に生じたものは積極的な治療.
  • プロプラノロール(βブロッカー)内服,ステロイド全身投与,レーザー治療など.
先天性血管拡張性大理石様皮斑  あた405
  • 生下時か出生早期に生じるリベドを特徴とする.
  • 下肢に好発し,毛細血管奇形や静脈奇形を伴うことがある.
  • 生後2年以内にほどんどが消失
  • 奇形に注意.
ポートワイン母斑(単純性血管腫) あた427
  • 毛細血管奇形,火焔状母斑
  • 出生時から存在する境界明瞭で隆起しない紅色斑.
  • 真皮浅層の毛細血管拡張
  • 自然消退はせず,加齢に伴って色調が濃くなる.
  • 顔面では青年期以降に肥厚し,結節性隆起を多発することがある.(肥大性ポートワイン母斑)
  • Sturge-WeberやKippel-Trenaunary-Weber症候群の1症状となることがある.
  • 正中部の境界不鮮明な淡紅色斑を正中部母斑ないしサーモンパッチといって新生児の約20-30%でみられ,2歳ころまでに大部分が自然消退.
  • 項部に生じたウンナ母斑は消退しにくい.

問題 70.Mycosis fungoides の亜型はどれか.2 つ選べ.

1. Granulomatous slack skin
2. Multicentric reticulohistiocytosis
3. Lymphomatoid papulosis
4. Pagetoid reticulosis
5. Sézary syndrome

1.4

H24-65の再出題

あた468

菌状息肉症の亜型,類縁疾患
毛包向性菌状息肉症(folliculotropic MF) 亜型
Paget病様細網症(pagetoid reticulosis) 亜型
肉芽腫様弛緩皮膚(granulomatous slack skin) 亜型
毛包性ムチン沈着症(follicular mucinosis) MFとの合併例がある.
局面状類乾癬(parapsoriasis en plaque) 10-30%の割合でMFに移行.
多中心性細網組織球症 (Multicentric reticulohistiocytosis)
  • 組織球の異常増殖により,主に皮膚及び粘膜の多発性小結節性病変と多発性破壊性関節炎を主徴とする極めて稀な疾患.
  • 初発年齢は40歳代が最も多く,男女比は1:2-3で女性に多い.
  • SLE,Sjogren症候群,原発性胆汁性肝硬変,悪性腫瘍などを合併することがある
  • S-100陰性,CD68陽性(R2-44
リンパ腫様丘疹症(Lymphomatoid papulosis) あた476
  • 数ミリ~1cmまでの鱗屑を伴う紅褐色丘疹.
  • 中心に壊死や痂皮を伴うこともある.
  • 個疹は2~3週間で軽度の瘢痕,色素沈着を残して自然消退.
  • CD30陽性の大型異型細胞や,赤血球漏出,好酸球を認める.
  • 良性で,自然消退しない場合はステ外用やPUVA.
Sézary syndrome あた471
  • 紅皮症,表在リンパ節の腫脹,末梢血中での異形リンパ球の出現の3主徴
  • 強い掻痒をともなう
  • 病理所見と治療は菌状息肉症とおなし.
  • TNMB分類で,T4の紅皮症が体表面積の80%以上と,B2の末梢血のSézary細胞(CD4+T細部おの表面マーカーを有する)が1000個/μL以上を見たるものをSézary症候群と診断する.

問題 71.神経線維腫の病理組織において腫瘍細胞間によくみられる細胞はどれか.

1. 好酸球
2. 好中球
3. 好塩基球
4. 肥満細胞
5. 形質細胞

4

H28-62の再出題

あた420

  • シュワン細胞(S100)由来の良性腫瘍と考えられているが,神経周膜細胞(EMA)と神経内膜細胞由来の細胞も含む.S-100,CD34,EMA陽性
  • 境界明瞭で,被膜を持たない腫瘍病変.
  • 紡錘形の腫瘍細胞の増殖と,その間に細くうねった膠原線維が錯綜する.
  • 粘液性の間質や肥満細胞浸潤をみる.
  • NF1の神経線維腫の発生には,両アレルに異常をきたしたシュワン細胞と,片方のアレルに異常をきたした肥満細胞が関与している.(新・皮膚科セミナリウム 母斑症・遺伝性疾患1.神経線維腫症1型(診断・治療の現状と最近の知見)

問題 72.脱色素性母斑について正しいのはどれか.3つ選べ.

1. メラノサイト数は顕著に減少する.
2. 白斑部の大きさや形状は変化しない.
3. メラノソームの成熟度と数は正常である.
4. ケラチノサイトへのメラノソーム転送低下を認める.
5. 出生時または出生後まもなく気づく不完全脱色素斑である.

2.4.5

あた308 色素異常症参照

  • 非遺伝性
  • メラノサイトの機能低下による
  • 生涯白斑部の大きさ,分布,数は変化しない.
  • モザイク説,メラノソーム伝達障害説がある.
  • 生下時~生後まもなくから背部や殿部などに不完全脱色素斑を認める.
  • 結節性硬化症の葉状白斑は成長とともに自然消退する.

問題 73.11 歳の女児.手指,足底,口唇に図 22 のような皮疹がある.考えられる鑑別診断はどれか.2つ選べ.

1. Addison 病
2. Klippel-Weber 症候群
3. Laugier-Hunziker-Baran 症候群
4. Leopard 症候群
5. Peutz-Jeghers 症候群

3.5

神経皮膚症候群参照

  1. addison病は色素沈着
  2. リンパ管奇形,静脈奇形,単純性血管腫など
  3. ○ 後天性に口唇・口腔粘膜の色素斑と指趾尖部の爪甲色素線条を高頻度に併発する,稀な原因不明の非遺伝性疾患.
  4. 両眼隔離,多発黒子,カフェオレ斑など

問題 74.45歳の男性.背部の角化性紅斑を主訴に受診した(図 23a).ダーモスコピー像(図 23b)と組織像(図 23c)を示す.図 23b の矢印が示す所見は図23c の組織像のうち,どれか.

1. ①
2. ②
3. ③
4. ④
5. ⑤

尋常性乾癬 あた281

①は不全角化,②はマンローの微小膿瘍,③は顆粒層の消失,④真皮乳頭の突出,⑤真皮浅層の血管周囲のリンパ球浸潤.
ダーモスコピーは真皮乳頭の毛細血管を指し示している.

問題 75.組織像を示す(図 24a,図 24b).図 24b の矢印が示す組織所見は,ダーモスコープで観察すると,どの所見に対応するか.

1. arborizing vessel
2. capillary microhemorrhage
3. glomerular vessel
4. hairpin vessel
5. red lacuna

基底細胞癌 あた444 R1-72

  1. 樹枝状血管 あた58 腫瘍表面を走る拡張した毛細血管.基底細胞癌の診断に有用.
  2. あた61 強皮症や皮膚筋炎などの膠原病でみられる爪上皮の出血点や毛細血管拡張.
  3. 糸球体様血管 塊状に蛇行した毛細血管で,腎臓の糸球体様構造のようにみえる.Bowen病.
  4. ヘアピン状血管は,長く伸びた真皮乳頭でUターンする毛細血管が,細長く平行に走ることでヘアピン状にみえるもので,疣贅や,脂漏性角化症,ケラトアカントーマ,汗孔腫などでみられる.
  5. あた61 血管腫や血管奇形.老人性血管腫,化膿性肉芽腫,静脈湖,被殻血管腫.

問題 76.組織像を示す(図 25a と図 25b).図 25b の矢印が示す組織所見は,ダーモスコープで観察すると,どの所見に対応するか.

1. arborizing vessel
2. capillary microhemorrhage
3. glomerular vessel
4. linear vessel
5. red lacuna

5

問題 77.図 26 に足底の色素斑のダーモスコピー像を示す.図 26 ①~⑤の中で最も悪性を疑うのはどれか.

1. ①
2. ②
3. ③
4. ④
5. ⑤

皮丘優位パターン

問題 78.金属アレルギーについて正しいのはどれか.3 つ選べ.

1. 金と水銀の交差反応の頻度は 5%未満である.
2. 水銀皮膚炎の原因として多いのは,水銀温度計の破損である.
3. 金は水に溶けやすいため,装身具による接触皮膚炎が生じやすい.
4. 金チオ硫酸ナトリウムのパッチテスト陽性率は男性よりも女性において高い.
5. 全身性接触皮膚炎ではアレルゲンの非経皮的侵入により全身に皮疹が生じる.

4.5(解答が1個足りない,,,)

  1. ✕ 水銀と銀は交差反応がある.
  2. ✕ 水銀防止法により2020年までに局所消毒薬,水銀温度計,水銀血圧計を廃止することになっており,歯科でも歯科用アマルガムは廃絶方向となっている.防腐剤のチメロサールがエチル水銀チオサリチル酸ナトリウムとうい水銀化合物である.
  3. ✕ 金はイオン化しにくい.
  4. ○ 装身具の接触頻度の差の説もあるが,マウスでもメスのほうが金に感作されやすい報告がある.

問題 79.Non-episodic angioedema with eosinophiliaについて正しいのはどれか.3 つ選べ.

1. 若年女性に好発する.
2. 体重が著明に増加する.
3. 夏季から秋季に発症することが多い.
4. 両下腿に顕著な pitting edema が生じる.
5. 膠原線維間や脂肪小葉間への好酸球浸潤はみられない.

1.3(.2?)

新・皮膚科セミナリウム Episodic angioedema with eosinophiliaの病態と治療 2019 年 129 巻 2 号 p. 157-160 より出題  Episodic angioedema with eosinophiliaの病態と治療 まとめ参照

Non-episodic angioedema with eosinophilia
  • 日本でのangioedema with eosinophiliaは一過性のことが多く,Non-episodic angioedema with eosinophiliaとして扱われる.
  • 若年女性に多い
  • 浮腫は四肢に限局
  • 血清IgMの上昇はない.
  • 低用量ステロイド内服ないし,自然軽快
  • 90%の症例が夏から秋に発症.
  • ゴムまり様の浮腫で指圧痕を残さないのが特徴
  • 浮腫とともに体重は増加するがepisodic angioedema with eosinophiliaより軽度.
  • 発熱は37℃台程度で高熱に至らないことが多い.
  • 関節痛や多発血栓,自己免疫性溶血性貧血,甲状腺機能亢進症を併発した例も報告されている.
  • 病理は,真皮から皮下脂肪組織にかけて浮腫があり,膠原線維間や葉間に好酸球が浸潤し,血管周囲のリンパ球浸潤も伴う
  • 好酸球増多に関わるIL-5が上昇
  • IL-13,9,10, TNF-α, TARC, Eotaxin-3,VEGFが上昇する報告がある.

問題 80.糖尿病に併発することが多い皮膚病変はどれか.3 つ選べ.

1. Dupuytren 拘縮
2. Nuchal-type fibroma
3. 結節性紅斑
4. 老人性脂腺増殖症
5. 汎発性環状肉芽腫

1.2.5

手掌測定線維腫症
  • あた434
  • 手掌,足底の腱膜に硬い索状物を生じる.
  • 進行すると屈曲拘縮をおこして有痛性になる.
  • 手掌線維腫症(Dupuytren拘縮)は尺側に生じる.
  • 足底に生じた場合は,Ledderhose病という.
  • アルコール依存, 糖尿病,てんかんに生じやすい.
  • 半数に家族歴あり.
項部線維腫 (nuchal fibroma)
  • 約70%が項部に発症
  • 糖尿病やGardner症候群を合併
  • vimentinとCD34に強陽性,SMA陰性
結節性紅斑
  • あた354
  • 細菌感染,結核,ハンセン病,伝染性単核球症,B型肝炎,単純疱疹,白癬,トキソプラズマ,サルファ剤,経口避妊薬,ヨード剤,悪性リンパ腫,白血病,潰瘍性大腸炎,クローン病,サルコイドーシス,ベーチェット病,反応性関節炎などに合併.
  • NASIDs,ヨウ化カリウム,ステロド内服
老人性脂腺増殖症
  • あた411
  • 高齢者の顔面に好発する.
  • 成熟した脂腺が増殖して隆起したもの.
  • Muir-Torre症候群(あた455)に合併することがある.
汎発性環状肉芽腫
  • あた348 R1記-8
  • 中高年の女性に好発
  • 体幹,四肢末端に両側性および散在性に小型の肉芽腫
  • 糖尿病の合併多い

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