サルコイドーシス診断基準

ガイドライン

最新の情報は難病情報センター「サルコイドーシス(指定難病84)」を参照してください.

A.臨床症状

呼吸器、眼、皮膚、心臓、神経を主とする全身のいずれかの臓器の臨床症状あるいは臓器非特異的全身症状

  1. 臓器非特異的全身症状:慢性疲労、慢性疼痛、息切れ、発熱、寝汗、体重減少
  2. 呼吸器:胸部異常陰影、 咳、痰、息切れ
  3. 眼:霧視、飛蚊症、視力低下
  4. 神経:脳神経麻痺、頭痛、意識障害、運動麻痺、失調、感覚障害、排尿障害、尿崩症
  5. 心臓:不整脈、心電図異常、動悸、息切れ、意識消失、突然死
  6. 皮膚:皮疹(結節型、局面型、皮下型、びまん浸潤型、苔癬様型、結節性紅斑様型、魚鱗癬型、瘢痕浸潤、結節性紅斑)
  7. 胸郭外リンパ節:リンパ節腫大
  8. 筋肉:筋力低下、筋痛、筋肉腫瘤
  9. 骨:骨痛、骨折
  10. 上気道:鼻閉、扁桃腫大、咽頭腫瘤、嗄声、上気道狭窄、副鼻腔炎
  11. 外分泌腺:涙腺腫大、唾液腺腫大、ドライアイ、口腔内乾燥
  12. 関節:関節痛、関節変形、関節腫大
  13. 代謝:高カルシウム血症、尿路結石
  14. 腎臓:腎機能障害、腎臓腫瘤
  15. 消化管:食欲不振、腹部膨満、消化管ポリープ
  16. 肝臓:肝機能障害、肝腫大
  17. 脾臓:脾機能亢進症状(血球減少症)、脾腫
  18. 膵臓:膵腫瘤
  19. 胆道病変:胆道内腫瘤
  20. 骨髄:血球減少症
  21. 乳房:腫瘤形成
  22. 甲状腺:甲状腺機能亢進、甲状腺機能低下、甲状腺腫
  23. 生殖器:不妊症、生殖器腫瘤

B.特徴的検査所見

  1. 両側肺門縦隔リンパ節腫脹(Bilateral hilar-mediastinal lymphadenopathy:BHL) 
  2. 血清アンジオテンシン変換酵素(ACE)活性高値または血清リゾチーム値高値
  3. 血清可溶性インターロイキン-2受容体(sIL-2R)高値
  4. 67Ga シンチグラフィ又は18F-FDG/PETにおける著明な集積所見
  5. 気管支肺胞洗浄液のリンパ球比率上昇又はCD4/CD8 比の上昇

付記1.両側肺門縦隔リンパ節腫脹とは両側肺門リンパ節腫脹又は多発縦隔リンパ節腫脹である.

付記2.リンパ球比率は非喫煙者20%、喫煙者10%、CD4/CD8は3.5を判断の目安とする.

C.臓器病変を強く示唆する臨床所見

1.呼吸器病変を強く示唆する臨床所見

画像所見にて、①又は②を満たす場合


①両側肺門縦隔リンパ節腫脹(BHL)
②リンパ路である広義間質(気管支血管束周囲、小葉間隔壁、胸膜直下、小葉中心部)に沿った多発粒状影又は肥厚像

2.眼病変を強く示唆する臨床所見

眼所見にて、下記6項目中2項目以上を満たす場合


①肉芽腫性前部ぶどう膜炎(豚脂様角膜後面沈着物、虹彩結節)
②隅角結節またはテント状周辺虹彩前癒着
③塊状硝子体混濁(雪玉状、数珠状)
④網膜血管周囲炎(主に静脈)及び血管周囲結節
⑤多発するろう様網脈絡膜滲出斑又は光凝固斑様の網脈絡膜萎縮病巣
⑥視神経乳頭肉芽腫又は脈絡膜肉芽腫

3.心臓病変を強く示唆する臨床所見

各種検査所見にて、①又は②を満たす場合(表1は略)


①主徴候5項目中2項目が陽性の場合
②主徴候5項目中1項目が陽性で、副徴候3項目中2項目以上が陽性の場合

D.鑑別診断

  1. 原因既知あるいは別の病態の全身性疾患:悪性リンパ腫、他のリンパ増殖性疾患、がん、ベーチェット病、アミロイドーシス、多発血管炎性肉芽腫症(GPA)/ウェゲナー肉芽腫症、IgG4関連疾患、ブラウ症候群、結核、肉芽腫を伴う感染症(非結核性抗酸菌感染症、真菌症)
  2. 異物、がんなどによるサルコイド反応
  3. 他の肉芽腫性肺疾患:ベリリウム肺、じん肺、過敏性肺炎
  4. 巨細胞性心筋炎
  5. 原因既知のブドウ膜炎:ヘルペス性ぶどう膜炎、HTLV-1関連ぶどう膜炎、ポスナー・シュロスマン症候群
  6. 他の皮膚肉芽腫:環状肉芽腫、環状弾性線維融解性巨細胞肉芽腫、リポイド類壊死、メルカーソン・ローゼンタール症候群、顔面播種状粟粒性狼瘡、酒さ
  7. 他の肝肉芽腫:原発性胆汁性胆管炎

E.病理学的所見

いずれかの臓器の組織生検にて、乾酪壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫が認められる。

<診断のカテゴリー>

組織診断群:A、B、Cのいずれかで1項目以上を満たし、Dが除外され、Eの所見が陽性のもの

臨床診断群:Aの1項目以上があり、Bの5項目中2項目以上であり、Cの呼吸器、眼、心臓病変3項目中2項目を満たし、Dが除外され、Eの所見が陰性のもの

皮膚科の場合サルコイドーシスの皮疹から生検して,病理で乾酪壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫を認めれば確定診断.(R1-58)

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