R2-2020年度皮膚科専門医認定試験問題 81-100

令和2年度(2020年度)皮膚科専門医試験

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選択問題

問題 81.HE 標本で未分化悪性腫瘍(腫瘍の分化方向が不明の腫瘍)を見た時に,分化方向を決めるために第 1 段階として行う免疫組織化学染色に含まれないのはどれか.

1. AE1/AE3
2. Ki-67(MIB-1)
3. LCA(leukocyte common antigen)
4. S-100
5. Vimentin

2

組織染色参照

  1. 上皮系への分化のマーカー
  2. ✕ 細胞周期関連核タンパク質の一つ.細胞増殖マーカー
  3. 白血球のマーカー
  4. メラノサイト,Langerhans細胞,シュワン細胞のマーカー
  5. 中間径フィラメントファミリー
    間葉系細胞のマーカー
    線維芽細胞、血管内皮細胞、平滑筋細胞、横紋筋細胞、骨・軟骨細胞、神経鞘細胞など

問題 82.境界部皮膚炎(interface dermatitis)の組織像をとるのはどれか.3 つ選べ.

1. Gibert バラ色粃糠疹
2. 皮膚筋炎
3. 多形紅斑
4. 急性湿疹
5. 固定薬疹

2.3.5

みき先生の皮膚病理診断ABC〈4〉 炎症性病変 15-24 炎症性病変の病理組織パターン参照

真皮表皮境界型の病変
空砲型 角化細胞の壊死が目立つ リンパ球浸潤 真皮浅層に限局する細胞浸潤 多形紅斑
真皮全層V字型の細胞浸潤
錯角化と好中球を含む痂皮
PLEVA
好酸球浸潤 表皮の菲薄化
毛包の空胞変性
急性GVHD
真皮全層 固定薬疹
角化細胞の壊死が目立たない 基底膜肥厚 真皮の浮腫,ムチン沈着 LE(急性型皮疹)
皮膚筋炎
結節状のリンパ球浸潤 LE(慢性型皮疹,DLE)
好酸球浸潤 播種状紅斑丘疹型薬疹
赤血球の血管外漏出 特発性色素性紫斑
苔癬型 帯状リンパ球浸潤 過角化,顆粒層肥厚 扁平苔癬
好酸球浸潤 扁平苔癬型薬疹
帯状および血管周囲性のリンパ球浸潤 辺縁に日光性色素斑・脂漏性皮膚炎が併存 LPLK
赤血球の血管外漏出 表皮の萎縮 硬化性萎縮性苔癬

問題 83.紅斑性狼瘡(lupus erythematosus)の組織所見はどれか.3 つ選べ.

1. 好酸球浸潤を伴う.
2. 海綿状態が主体である.
3. 基底層に空胞変性がある.
4. 炎症細胞浸潤は通常,真皮浅層と深層にある.
5. 表皮内の個細胞壊死は目立たないことが多い.

3.4.5

みき先生の皮膚病理診断ABC〈4〉 炎症性病変 15-24 炎症性病変の病理組織パターン参照

  1. 好酸球浸潤を伴うのは播種状紅斑丘疹型薬疹.
  2. 液状変性を伴う.海綿状態は表皮の病変
  3. ○ 表皮真皮境界型の病変で,空胞変性を認める.
エリテマトーデス(LE)あた191
  • LEは表皮真皮境界型の病変
  • 角化細胞の壊死が目立たない
  • 基底膜肥厚+
  • 真皮の浮腫,ムチンの沈着+

問題 84.皮膚線維腫(図 27a と図 27b)と隆起性皮膚線維肉腫を HE 標本で組織学的に鑑別する場合に有用な組織所見はどれか.3 つ選べ.

1. Cannonball pattern
2. 組織培養状形態(tissue-culture appearance)
3. 出血や組織球浸潤
4. 腫瘍内の膠原線維の増生
5. 周辺組織への浸潤パターン

3.4.5

隆起性皮膚線維肉腫 あた461

  1. 房状血管腫でみられる,小型の血管内皮細胞が結節状に増加して、その中に小さな血管腔が形成されるパターン.
  2. ✕ 培養?

問題 85.図 28 は表皮顆粒層の走査電子顕微鏡像である.矢印で示した構造物から表皮角層に供給される物質はどれか.

1. セラミド
2. ロリクリン
3. フィラグリン
4. インボルクリン
5. トランスグルタミナーゼ

1

層板顆粒 表皮の構造参照

  1. ○ 層板顆粒からは,角質細胞間脂質,カリクレイン,LEKTI,コルネオデスモシンが供給される.
  2. ✕ 周辺帯の構成要素
  3. ✕ ケラトヒアリン顆粒にプロフィラグリンがある.
  4. ✕ 周辺帯の構成要素
  5. ✕ インボクリンとロリクリンを細胞外のセラミドと架橋させる酵素.

問題 86.図 29 に尋常性痤瘡を対象として Adapalenegel 0.1%あるいは Vehicle を外用した際の変化量を示す(Kawashima M, et al. J Dermatol Sci. 2008;49:241-8 より引用).この図は何を観察対象としたものか. なお,* は統計学的に 2 群の間に有意差(p<0.05,Wilcoxon rank sum test)があることを示す.

1. 皮疹の総数
2. 脱落者の数
3. 白色面皰の数
4. 炎症性皮疹の数
5. 刺激感を訴えた症例数

Kawashima M, et al. J Dermatol Sci. 2008;49:241-8 参照

問題 87.降圧剤に用いられている ACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害剤が血管浮腫の原因となることが知られている.図 30 にキニン・カリクレイン系の代謝経路を示す.ACE阻害剤が血管浮腫を引き起こすのは,図中のどのタンパクを阻害するためか.

1. XIIa
2. カリクレイン
3. キニナーゼ II
4. 高分子(HMW)キニノーゲン
5. ブラジキニン

ACE阻害薬は,キナーゼを阻害しプラジキニンを産生するため血管浮腫を引き起こす.

問題 88.男性型脱毛症の治療に,5α リダクターゼの阻害薬が用いられる.図 31 にステロイド生合成経路を示す.5α リダクターゼは,図のどの代謝経路に関わる酵素か.

1. ①
2. ②
3. ③
4. ④
5. ⑤

5

問題 89.MRI の造影剤に使われる元素はどれか.

1. Ba
2. Ga
3. Gd
4. Ge
5. I

3

MRIではガドニウム(T1強調で白),超常磁性酸化鉄製剤(SPIO;Super Paramagnetic Iron Oxide)(T2強調で黒)で造影する.

問題 90.医療におけるリスクの考え方として正しいのはどれか.

1. 治療方針の説明時に,医師は患者にリスク情報を伝えさえすればよい.
2. 患者に副作用症状を伝えるには,患者が理解できる言葉で具体的に伝える.
3. 患者にリスクに関する情報を提示して,自分でリスクについて判断してもらう.
4. 治療によるリスクを患者に伝えることは,精神的不安を与えるので好ましくない.
5. リスクを承知で患者が治療を受けた場合,有害事象が発生しても医師には責任がない.

2

問題 91.学校保健安全法による感染症の出席停止について,正しい組み合わせはどれか.3 つ選べ.

1. 風疹 ――――――発疹が消失するまで
2. 伝染性紅斑 ―――頬の皮疹が消えるまで
3. 麻疹 ――――――解熱するまで
4. 結核 ――――――医師が感染の恐れがないと認めるまで
5. 水痘 ――――――すべての発疹が痂疲化するまで

1.4.5

学校保健法参照

  • 伝染性紅斑は頬の皮疹がでたときには感染力はほどんどない.
  • 麻疹は解熱後3日経過するまで出席停止.

問題 92.自己免疫性水疱症の診断のために皮膚生検組織を用いて蛍光抗体直接法を行うときに,組織切片の種類と厚さの組み合わせで正しいのはどれか.

1. 新鮮凍結切片:5~10 nm
2. 新鮮凍結切片:5~10 μm
3. 新鮮凍結切片:50~100 μm
4. パラフィン切片:5~10 nm
5. パラフィン切片:5~10 μm

2

パラフィン切片の厚さは、 通常3~4 μm (3/1000~4/1000 mm) 程度

問題 93.72 歳の男性.糖尿病に対してインシュリン投与を受けている.左足第 2 趾に図 32a に示す皮疹があることに家族が気づいた.ダーモスコピー像を図32b に示す.適切な治療についての保険請求はどれで行うのが適当か.

1. J056-1(いぼ等冷凍凝固法,3 箇所以下)
2. J057-3(鶏眼・胼胝処置)
3. K002-1(デブリードマン,100 平方センチメートル未満)
4. K004-1(皮膚,皮下,粘膜下血管腫摘出術(露出部以外),長径 3 センチメートル未満)
5. K007-2(皮膚悪性腫瘍切除術,単純切除)

2

胼胝の内出血

問題 94.ジャパニーズスタンダードのパッチテストで,48 時間,72 時間だけでなく,1 週間後の判定が望ましいアレルゲンはどれか.

1. ペルーバルサム
2. ラノリンアルコール
3. パラフェニレンジアミン
4. フラジオマイシン硫酸塩
5. イソチアゾリノンミックス

4

接触皮膚炎診療ガイドライン参照

他,金チオ硫酸ナトリウム,p-tert-ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂も1週間以上経過後に陽性となることがあるので注意.

問題 95.梅毒血清学的検査の自動化法について誤っているのはどれか.

1. ラテックス凝集法を用いて測定する.
2. 脂質抗原は 1.0 以上が陽性である.
3. 脂質抗原は治療前後で 4 倍以上の変化が有意な変化である.
4. Tp 抗原は 10.0 以上が陽性である.
5. Tp 抗原はこれまでの用手法よりも,感染後早く陽性になることがある.

3

  1. ○ TPLAはラテックス凝集法.
  2. ○ RPRは1.0 R.U.,1.0U,1.0SU/ml以上が陽性
  3. ✕ RPR が陽性の場合は、自動化定量法のRPRでは治療前値の概ね 1/2、用手法である 2 倍系列希釈法の RPRでは、治療前値の 1/4 まで抗体価が低下したら治癒と判断してよい.
  4. ○ TPLAは10.0 T.U.以上が陽性.

非トレポネーマ脂質抗体 STS法 RPR法 カルジオリピン
梅毒トレポネーマ抗体 TP抗体法
(総称してTPHA)
TPHA 動物の赤血球
TPPA ゼラチン粒子
TPLA ラテックス凝集反応
FTA-ABS 間接蛍光抗体

STS ;serological test for syphilis, TPHA ;Treponema pallidum hemagglutination test, TPPA ; Treponema pallidum particle agglutination, TPLA ;Treponema pallidum latex agglutination, FTA-ABS ;fluorescent treponemal antibody absorption test

問題 96.9 歳の女児.生後 4 か月頃から 10 分程度の日光曝露で高度の紅斑,水疱が出るようになり,日焼け止めなどで遮光していた.乳児期から雀卵斑様の色素斑も出現した.近医でアトピー性皮膚炎として加療されたが,色素斑は増加した.現時点では発達障害,神経障害は無い.初診時,図 33a,b の所見を示した.前医で切除された鼻背の黒色小結節の病理組織像を図 33c に示す.診断のために最も必要な検査は何か.

1. パッチテスト
2. MED の測定
3. 温熱発汗試験
4. 雀卵斑様の色素斑の生検
5. 血液検査による TARC の測定

2

色素性乾皮症 あた234

顔面雀卵斑と,病理で基底細胞癌を認め色素性乾皮症と類推できる.

MEDを足底し,XPの型を診断できる.

XP の原因遺伝子とその臨床および細胞学的特徴

相補性群 原因遺伝子 臨床症状 細胞学的特性
皮膚症状 神経症状 UDS(%) 紫外線致死
感受性(D0)(J/m2
光線過敏 BCC 初発
平均年齢
A XPA +++ 9.7 ++ <5 0.4
B XPB/ERCC3 ++ -~++ 3~7  
C XPC ++ 14.0 10 ~ 20 1.0
D XPD/ERCC2 ++ 38.0 -~++ 20 ~ 50 0.77
E DDB2 38.3 40 ~ 60 2.2 ~ 2.4
F XPF 43.7 -~+ 10 ~ 20 0 1.7 ~ 2.2
G ERCC5 ++ 32 -~++ <5 0.6
V POLH 41.5 75 ~ 100 2.4 ~ 4.5

UDS:unscheduled DNA Synthesis 不定期 DNA 合成能

D0:37% 細胞生存率を与える紫外線線量
:サンバーンは生じない((MED低下なし)

色素性乾皮症診療ガイドラインより引用,改変

問題 97.保険診療の規定上正しいのはどれか.

1. 露出部の皮膚皮下腫瘍摘出時は真皮縫合加算が加算できる.
2. 局所陰圧閉鎖処置は処置面積にかかわらず算定できる処置点数は同じである.
3. 同一面積であれば全層植皮術のほうが分層植皮術よりも保険点数が高い.
4. 熱傷処置は初回処置を行った日から起算して1 か月経過するまでに行われた場合に限り算定する.
5. センチネルリンパ節加算が算定できるのは悪性黒色腫,メルケル細胞癌,乳房外パジェット病(癌)である.

3

保険診療点数まとめ参照

  1. ✕ 真皮縫合加算ができるのは創傷処理の露出部
  2. ✕ 処置面積によって点数は異なる.
  3. ✕ 2ヶ月経過まで算定.それ以降は創傷処置.
  4. ✕ 悪性腫瘍,メルケル細胞癌,乳房外パジェット,直径2cmを超える有棘細胞癌の4つ

問題 98.保険診療として認められないのはどれか.

1. 鶏眼処置を月に 2 回算定した.
2. 同一日に薬剤リンパ球刺激試験に 3 剤提出し,保険請求した.
3. 80 平方センチメートルの皮膚科軟膏処置を行い,保険請求した.
4. 円形脱毛症の患者にナローバンドUVB療法を実施し,保険請求した.
5. アトピー性皮膚炎の患者にデュピルマブの在宅自己注射について指導管理を行い,在宅自己注射指導管理料を算定した.

保険診療点数まとめ参照

  1. ✕ 一般病床数が200以上ある保険診療機関は,外来診療料に含まれて,500cm2未満の軟膏処置は別途請求はできない. 

問題 99.医師の倫理に関する規定について誤っているのはどれか.

1. 「ヒポクラテスの誓い」において,守秘義務に関する記載がある.
2. 「ヒポクラテスの誓い」において,安楽死に関する記載がある.
3. 「ジュネーブ宣言」において,人命尊重に関する記載がある.
4. 「リスボン宣言」において,動物実験に関する記載がある.
5. 「リスボン宣言」において,患者の自己決定権に関する記載がある.

4

ヒポクラテスの誓い

医神アポロン、アスクレピオス、ヒギエイア、パナケイアおよびすべての男神と女神に誓う。私の能力と判断にしたがってこの誓いと約束を守ることを。

  1. この術を私に教えた人をわが親のごとく敬い、わが財を分かって、その必要あるとき助ける。
  2. その子孫を私自身の兄弟のごとくみて、彼らが学ぶことを欲すれば報酬なしにこの術を教える。そして書きものや講義その他あらゆる方法で私の持つ医術の知識をわが息子、わが師の息子、また医
    の規則にもとずき約束と誓いで結ばれている弟子どもに分かち与え、それ以外の誰にも与えない。
  3. 私は能力と判断の限り患者に利益すると思う養生法をとり、悪くて有害と知る方法を決してとらない。
  4. 頼まれても死に導くような薬を与えない。それを覚らせることもしない。同様に婦人を流産に導く道具を与えない。(安楽死
  5. 純粋と神聖をもってわが生涯を貫き、わが術を行う。
  6. 結石を切りだすことは神かけてしない。それを業とするものに委せる。
  7. いかなる患家を訪れる時もそれはただ病者を益するためであり、あらゆる勝手な戯れや堕落の行いを避ける。女と男、自由人と奴隷の違いを考慮しない。
  8. 医に関すると否とにかかわらず他人の生活について秘密を守る。(守秘義務
  9. この誓いを守りつづける限り、私は、いつも医術の実施を楽しみつつ生きてすべての人から尊敬されるであろう。もしこの誓いを破るならばその反対の運命をたまわりたい。
ジュネーブ宣言

日本医師会サイト参照

医師として、生涯かけて、人類への奉仕の為にささげる、師に対して尊敬と感謝の気持ちを持ち続ける、良心と尊厳をもって医療に従事する、患者の健康を最優先のこととする、患者の秘密を厳守する、同僚の医師を兄弟とみなす、そして力の及ぶ限り、医師という職業の名誉と高潔な伝統を守り続けることを誓う

医師の一人として、
私は、人類への奉仕に自分の人生を捧げることを厳粛に誓う。
私の患者の健康と安寧を私の第一の関心事とする。
私は、私の患者のオートノミーと尊厳を尊重する。
私は、人命を最大限に尊重し続ける。
私は、私の医師としての職責と患者との間に、年齢、疾病もしくは障害、信条、民族的起源、ジェンダー、国籍、所属政治団体、人種、性的志向、社会的地位あるいはその他いかなる要因でも、そのようなことに対する配慮が介在することを容認しない。
私は、私への信頼のゆえに知り得た患者の秘密を、たとえその死後においても尊重する。
私は、良心と尊厳をもって、そしてgood medical practiceに従って、私の専門職を実践する。
私は、医師の名誉と高貴なる伝統を育む。
私は、私の教師、同僚、および学生に、当然受けるべきである尊敬と感謝の念を捧げる。
私は、患者の利益と医療の進歩のため私の医学的知識を共有する。
私は、最高水準の医療を提供するために、私自身の健康、安寧および能力に専心する。
私は、たとえ脅迫の下であっても、人権や国民の自由を犯すために、自分の医学的知識を
利用することはしない。
私は、自由と名誉にかけてこれらのことを厳粛に誓う。

リスボン宣言

日本医師会サイト参照

  1. 良質の医療を受ける権利
  2. 選択の自由の権利
  3. 自己決定の権利
  4. 意識のない患者
  5. 法的無能力の患者
  6. 患者の意思に反する処置
  7. 情報に対する権利
  8. 守秘義務に対する権利
  9. 健康教育を受ける権利
  10. 尊厳に対する権利
  11. 宗教的支援に対する権利

問題 100.「ヘルシンキ宣言」の主旨と合わないのはどれか.

1. 被験者の保護責任は医師またはその他の医療専門職にある.
2. 医学研究では環境に害を及ぼす可能性を最小限にするよう務めるべきである.
3. 臨床研究参加の結果として損害を受けた被験者に対しては,適切な補償と治療が保証されなければならない.
4. 医師はヒトを対象とする研究を行うにあたり,国際的規範を第一に考え,自国の倫理・法律・規制より優先すべきである.
5. ヒトを対象とする医学研究の目的の一つとして,疾病の原因や発症機序を理解して,その予防・診断・治療法を改善することがある.

4

適用される国際的規範および基準はもとより、研究が実施される国または複数の国の法律と規制も考慮しなければならない。とあるので4が誤り.

ヘルシンキ宣言

日本医師会サイト参照

  1. WMA ジュネーブ宣言は、「私の患者の健康を私の第一の関心事とする」ことを医師に義務づけ、また医の国際倫理綱領は、「医師は、医療の提供に際して、患者の最善の利益のために行動すべきである」と宣言している。
  2. 医学研究の対象とされる人々を含め、患者の健康、福利、権利を向上させ守ることは医師の責務である。医師の知識と良心はこの責務達成のために捧げられる。
  3. 医学の進歩は人間を対象とする諸試験を要する研究に根本的に基づくものである。
  4. 人間を対象とする医学研究の第一の目的は、疾病の原因、発症および影響を理解し、予防、診断ならびに治療(手法、手順、処置)を改善することである。最善と証明された治療であっても、安全性、有効性、効率性、利用可能性および質に関する研究を通じて継続的に評価されなければならない。
  5. 医学研究はすべての被験者に対する配慮を推進かつ保証し、その健康と権利を擁護するための倫理基準に従わなければならない。
  6. 医学研究の主な目的は新しい知識を得ることであるが、この目標は個々の被験者の権利および利益に優先することがあってはならない。
  7. 被験者の生命、健康、尊厳、全体性、自己決定権、プライバシーおよび個人情報の秘密を守ることは医学研究に関与する医師の責務である。被験者の保護責任は常に医師またはその他の医療専門職にあり、被験者が同意を与えた場合でも、決してその被験者に移ることはない。
  8. 医師は、適用される国際的規範および基準はもとより人間を対象とする研究に関する自国の倫理、法律、規制上の規範ならびに基準を考慮しなければならない。国内的または国際的倫理、法律、規制上の要請がこの宣言に示されている被験者の保護を減じあるいは排除してはならない。
  9. 医学研究は、環境に害を及ぼす可能性を最小限にするよう実施されなければならない。
  10. 人間を対象とする医学研究は、適切な倫理的および科学的な教育と訓練を受けた有資格者によってのみ行われなければならない。患者あるいは健康なボランティアを対象とする研究は、能力と十分な資格を有する医師またはその他の医療専門職の監督を必要とする。
  11. 医学研究から除外されたグループには研究参加への機会が適切に提供されるべきである。
  12. 臨床研究を行う医師は、研究が予防、診断または治療する価値があるとして正当化できる範囲内にあり、かつその研究への参加が被験者としての患者の健康に悪影響を及ぼさないことを確信する十分な理由がある場合に限り、その患者を研究に参加させるべきである。
  13. 研究参加の結果として損害を受けた被験者に対する適切な補償と治療が保証されなければならない。

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