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- 選択問題
- 問題 41.抗結核薬の副作用で誤っている組み合わせはどれか.
- 問題 42.皮膚感染症について正しいのはどれか.
- 問題 43.50 歳代の男性.図 8a の皮膚所見で受診し,図 8b の検査所見であった.本症について正しいのはどれか.
- 問題 44.26 歳の女性.睫毛部に付着していた虫体(図9)を持参して来院した.本症について正しいのはどれか.
- 問題45.68歳の男性.キャンプから帰宅した翌日に腹部の皮疹(図 10)に気付いた.本症について正しいのはどれか.
- 問題46.次の刺症・咬症の中でアナフィラキシーを最も生じないのはどれか.
- 問題 47.疥癬治療に用いる内服薬イベルメクチンについて正しいのはどれか.3 つ選べ.
- 問題48.梅毒の皮疹・粘膜疹の組織に浸潤している炎症細胞の中で,特に本疾患を強く示唆するのはどれか.
- 問題 49.先天梅毒で,出現しない症状はどれか.
- 問題 50.HIV について正しいのはどれか.2 つ選べ.
- 問題 51.シェーグレン症候群において認められる頻度が最も低いのはどれか.
- 問題 52.2012 年に発表された血管炎の国際分類である Chapel Hill 分類(CHCC2012)において,多様な血管を侵す血管炎の範疇に配置されたのはどれか.
- 問題 53.皮膚筋炎の特異的抗体で抗核抗体でないのはどれか.2 つ選べ.
- 問題 54.( )に入る適切な語句はどれか. 「鼠径リンパ節郭清は鼠径靱帯・長内転筋・( )で囲まれた大腿三角の脂肪組織を中心とした軟部組織を一塊として切除することで所属リンパ節を摘出する」
- 問題 55.ケラチンと直接結合する分子はどれか.
- 問題 56.接合部型先天性表皮水疱症(幽門閉鎖合併型)と粘膜類天疱瘡に共通する標的分子はどれか.
- 問題 57.1M 食塩水処理(4℃,48 時間)した正常皮膚を用いた蛍光抗体間接法(split skin 法)の IgG 染色で,図 11 のような所見がみられた.考えられる疾患はどれか.2 つ選べ.
- 問題 58.わが国のサルコイドーシスの診断基準(2015)で,非乾酪壊死性類上皮細胞肉芽腫を示す皮膚病変を有し,他の肉芽腫・局所サルコイド反応を除外できている患者で,サルコイドーシスと診断するのに必要な他の条件は何か.
- 問題 59.メラノサイトの減少を主病態とする疾患はどれか.3 つ選べ.
- 問題 60.54 歳の女性.小学生の頃より,四肢伸側の皮膚に色素増強を認め,当科を受診した.四肢末端に図 12a~b の皮膚所見を呈し,手掌には点状陥没を認めた(図 12c の矢印).家族歴を図 12d に示す.最も考えられる疾患はどれか.
選択問題
問題 41.抗結核薬の副作用で誤っている組み合わせはどれか.
1. イソニアジド ―――――――神経障害
2. ピラジナミド ―――――――痛風
3. リファンピシン ――――――偽膜性腸炎
4. ストレプトマイシン ――――耳鳴
5. パラアミノサリチル酸 ―――SLE 様症状
5
抗結核薬 REP(リファンピシン)+INH(イソニアジド)+PZA(ピラジナミド)+SM(ストレプトマイシン) or EB(エタンブトール)
- REP
偽膜性腸炎,橙赤色尿,便や涙の黄染,PSLやCyAの効果減弱,肝障害 - INH
SLE様症状,ざ瘡様丘疹,DIHS,IP,視神経炎,インスリンを少量で増強し大量減弱 - PZA
抗尿酸血症 - SM
耳神経障害,麻酔薬の吸収抑制,肝腎障害 - EB
視神経炎 - PAS(パラアミノサリチル酸)
嘔吐,下痢,溶血性貧血,肝障害
問題 42.皮膚感染症について正しいのはどれか.
1. トキシックショック症候群の原因は A 群 β 溶連菌の外毒素である.
2. ブルーリ潰瘍は疼痛が強い.
3. Panton Valentine Leukocidin(PVL)毒素は主に市中感染型 MRSA が産生する.
4. 壊死性筋膜炎では empiric に治療を開始してはならない.
5. トキシックショック様症候群はトキシックショック症候群より予後良好である.
3
新・皮膚科セミナリウム 留意すべき皮膚感染症4.毒素関連皮膚細菌感染症 2020 年 130 巻 11 号 p. 2367-2372からの出題
- トキシックショック症候群 あた524 黄色ブドウ球菌の外毒素TSST-1が原因.
- ブルーリ潰瘍は無痛性の潰瘍が特徴.
- ○
- empiricに治療を開始しなければならない.
- トキシックショック様症候群のほうが予後不良.
ブドウ球菌関連毒素
表皮剥離毒素(exfoliative toxin;ET) | 水疱性膿痂疹,ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群 |
トキシックショック症候群毒素-1(toxic shock syndrome toxin-1;TSST-1) |
トキシックショック症候群 Neonatal TSS like exanthematous disease(NTED) |
エンテロトキシン(staphylococcal enterotoxin;SE) | トキシックショック症候群 |
Panton Valentine 型ロイコシジン(PVL) | 再発性のせつ・せつ腫症 |
トキシックショック様症候群
A郡β溶連菌の外毒素であるSPE-A,SPE-Cなどがスーパー抗原として作用する.あた524
問題 43.50 歳代の男性.図 8a の皮膚所見で受診し,図 8b の検査所見であった.本症について正しいのはどれか.
1. 中枢神経が侵される.
2. 1 種類の抗菌薬で治療する.
3. 抗酸菌用培地で発育可能である.
4. 日本では毎年約 50 名の新規患者がいる.
5. 多菌型(MB,LL 型)では左右対称性に皮疹・神経症状がみられる.
5
ハンセン病 あた553
2018年中部支部企画研修講習会(選択コース)抗酸菌症への誘いの講義資料からそのまま写真が出題 ハンセン病参照
- 末梢神経が侵される.
- リファンピシン,ジアフェニルスルホン,クロファジミン,オフロキサシンなどの多剤併用療法.
- 人工培養不可
- 0~数人
- ○
菌数による分類 | 小菌型(paucibacillary : PB) | 多菌型(multibacillary : MB) | |||
免疫学的分類 | I | TT | BT,BB,BL | LL | |
皮疹の分布 | 非対称 | 対称性 | |||
皮疹の性状 | 斑(環状斑),境界明瞭 | 紅斑(環状斑),丘疹,結節 | |||
皮疹の表面 | 乾燥性,無毛 | 光沢,平滑 | |||
皮疹の知覚異常 | 高度(触覚,痛覚,温痛覚) | 軽度ないし正常 | |||
病理所見 |
類上皮細胞性肉芽腫 巨細胞,神経への細胞浸潤 |
組織球性肉芽腫 組織球の泡沫状変化 |
|||
皮膚スメア検査 | 陰性 | 陽性 | |||
神経肥厚 | 限局して不規則に | 皮疹形成後期で生じる |
問題 44.26 歳の女性.睫毛部に付着していた虫体(図9)を持参して来院した.本症について正しいのはどれか.
1. 不潔な環境で発生する.
2. 幼児での流行がみられる.
3. 通常は性行為で感染する.
4. 虫卵は衣類に付着している.
5. 殺虫剤抵抗性が問題となっている.
3
シラミ症 あた563
アタマジラミとコロモジラミは見た目で区別がつかないが,写真はケジラミ
ケジラミはSTDの一種
- アタマジラミ
- アタマジラミ
- ケジラミ
- コロモジラミ
- アタマジラミ
ちなみにトコジラミはカメムシの仲間でシラミではない.
問題45.68歳の男性.キャンプから帰宅した翌日に腹部の皮疹(図 10)に気付いた.本症について正しいのはどれか.
1. 虫体の自然脱落を待つのがよい.
2. 鶏肉アレルギーに注意する必要がある.
3. 忌避剤配合の虫除けスプレーが予防に有効である.
4. 重症熱性血小板減少症候群に感染する確率が高い.
5. ネズミが生息する施設内で宿泊した際に被害を受ける.
3
マダニ刺咬症 あた566
- 口器を残すと異物肉芽腫を形成するため,剪刀で口器ごと取り出すが,トレパンで皮膚ごと切除.
- ✕ まだには牛肉アレルギーに注意.α-galが交差反応.
- ○ ディート,イカソジンなど忌避剤配合虫除スプレーが有効
- マダニ媒介感染症に,ライム病,日本紅斑熱,ロッキー山紅斑熱,重症血小板減少症候群などがあるが,感染確率は高くない.
- ネズミ関係なく草むらなどに生息.ネズミ媒介のイエダニは寝室などで夜間に非露出部を中心に吸血する.
問題46.次の刺症・咬症の中でアナフィラキシーを最も生じないのはどれか.
1. オオハリアリ
2. クマバチ
3. トビズムカデ
4. ヒアリ
5. ミツバチ
2
クマバチは毒性も弱く、ほとんど刺さない.
アシナガバチ,スズメバチ,ミツバチはアナフィラキシーを起こしやすい.
アシナガバチとスズメバチは交差する.
問題 47.疥癬治療に用いる内服薬イベルメクチンについて正しいのはどれか.3 つ選べ.
1. 母乳中には移行しない.
2. 空腹時投与が原則である.
3. 妊婦には投与すべきではない.
4. 肝機能障害があっても減量の必要はない.
5. 腎機能障害があっても減量の必要はない.
2.3.5
- ✕ 移行する.
- 脂溶性なので,食後だと濃度が上がりすぎる可能性がある.
- ○
- ✕
- ○ 透析でも調整不要
問題48.梅毒の皮疹・粘膜疹の組織に浸潤している炎症細胞の中で,特に本疾患を強く示唆するのはどれか.
1. 好酸球
2. 組織球
3. リンパ球
4. 肥満細胞
5. 形質細胞
5
あた559
H26-66形質細胞浸潤を伴うものとして,梅毒,日光口唇炎,乳頭状汗管嚢胞腺腫を選択される問題の出題歴あり.
病理では,血管内皮の腫大とお増殖,血管周囲の細胞浸潤(形質細胞,リンパ球が主体).
第3期では類上皮細胞肉芽腫を認める.
問題 49.先天梅毒で,出現しない症状はどれか.
1. 難聴
2. 角膜炎
3. 初期硬結
4. 仮性麻痺
5. Hutchinson 歯
3
あた559
母体から全身性,血行性に感染しているため,第1期梅毒はskipして,第2期梅毒の症状から発症する.
初期硬結は第1期梅毒の症状なので✕.
生後6ヶ月 | 早期先天梅毒 |
|
学童期 | 晩期先天梅毒 |
|
問題 50.HIV について正しいのはどれか.2 つ選べ.
1. 新規感染者は近年世界的に増加傾向にある.
2. CD4 陽性細胞数と梅毒の罹患頻度には相関はない.
3. HIV には HIV-1 と HIV-2 の 2 種類があり,ともに RNA ウイルスである.
4. HIV 抗体検査が偽陰性となりうる空白期間は感染から 3 週間以内である.
5. 無症候期では CD4 陽性細胞における HIV の複製・増殖はほとんどみられない.
2.3
あた509
- 減少傾向
- ○
- ○
- ウィンドウ期は6-8週間
- 無症候期の後半からHIV RNA量は増加する.
問題 51.シェーグレン症候群において認められる頻度が最も低いのはどれか.
1. 眼瞼炎
2. 凍瘡様紅斑
3. 頬部環状紅斑
4. 多形皮膚萎縮
5. 下腿点状紫斑
4
多形皮膚萎縮 あた75
皮膚筋炎,強皮症,SLE,慢性放射性皮膚炎,菌状息肉症,色素性乾皮症,Rothmund thompson症候群などでみられる.
問題 52.2012 年に発表された血管炎の国際分類である Chapel Hill 分類(CHCC2012)において,多様な血管を侵す血管炎の範疇に配置されたのはどれか.
1. Behçet 病
2. ループス血管炎
3. がん関連血管炎
4. 皮膚白血球破砕性血管炎
5. クリオグロブリン血症性血管炎
1
Chapel Hill 分類と疾患名 | ||
大型血管炎 | 高安動脈炎 巨細胞性動脈炎 |
|
中型血管炎 | 結節性多発動脈炎 川崎病 |
|
小型血管炎 | ANCA関連血管炎 | 顕微鏡的多発血管炎 多発血管炎性肉芽腫症(Wegener肉芽腫症) 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(Churge-Strauss症候群,アレルギー性肉芽腫性血管炎) |
免疫複合体性小型血管炎 | クリオグロブリン血症血管炎 低補体結晶性蕁麻疹様血管炎(抗C1q血管炎) |
|
種々の血管を侵す血管炎 | Behçet 病 Cogan症候群 |
|
単一臓器の血管炎 | 皮膚白血球核破砕性血管炎 皮膚動脈炎 原発性中枢神経系血管炎 孤発性動脈炎 など |
|
全身疾患に続発する血管炎 | ループス血管炎 リウマトイド血管炎 サルコイド血管炎 など |
|
誘因の推定される続発性血管炎 | C 型肝炎ウイルス関連クリオグロブリン血症性血管炎 B 型肝炎ウイルス関連血管炎 梅毒関連大動脈炎 薬剤関連免疫複合体性血管炎 薬剤関連 ANCA 関連血管炎 癌関連血管炎 など |
問題 53.皮膚筋炎の特異的抗体で抗核抗体でないのはどれか.2 つ選べ.
1. 抗 ARS 抗体
2. 抗 Mi-2 抗体
3. 抗 MDA5 抗体
4. 抗 TIF1-γ 抗体
5. 抗 NXP-2 抗体
1.3
あた205
抗核抗体パターンと対応疾患,新・皮膚セミナリウム筋炎特異抗体別サブグループ分類による皮膚筋炎の診断・治療方針のパラダイムシフト参照.
(ただし,新皮膚セミナリムは抗MDA5抗体の記載は抗核抗体が高力価で陽性となっているが,これは間違いで正しくは抗細胞質抗体である.)
抗 ARS 抗体と抗 MDA5 抗体は抗細胞質抗体なので,抗核抗体を測定しても陰性で検査値が帰ってくることがあるので注意.
皮膚筋炎を疑った場合,抗核抗体の他に上記2つの抗体は別途測定する必要がある.
問題 54.( )に入る適切な語句はどれか. 「鼠径リンパ節郭清は鼠径靱帯・長内転筋・( )で囲まれた大腿三角の脂肪組織を中心とした軟部組織を一塊として切除することで所属リンパ節を摘出する」
1. 短内転筋
2. 大腿二頭筋
3. 精索
4. 縫工筋
5. 大腿筋膜
4
問題 55.ケラチンと直接結合する分子はどれか.
1. BP180(17 型コラーゲン)
2. BP230
3. ラミニン 332
4. ラミニン γ1
5. 7 型コラーゲン
2
下図参照の青い線がケラチン5,14.BP230かプレクチン.
問題 56.接合部型先天性表皮水疱症(幽門閉鎖合併型)と粘膜類天疱瘡に共通する標的分子はどれか.
1. プレクチン
2. ラミニン 332
3. プラコフィリン 1
4. 17 型コラーゲン
5. インテグリン α6/β4
5
あた238
H30-84に類問あり
表皮水疱症の主な病型
大分類 | 小分類 | 遺伝形式 | 標的蛋白 |
単純型(EBS) | 限局型 | AD | K5,14 |
中等症汎発型 | AD | K5,14 | |
重症汎発型 | AD | K5,14 | |
筋ジストロフィー合併型 | AR | プレクチン | |
幽門閉鎖合併型 | AR | プレクチン | |
外胚葉形成不全・皮膚脆弱性症候群 | AR | プラコフィリン1 | |
接合部型(JEB) | 重症汎発型 | AR | ラミニン332 |
中等症汎発型 | AR | XVII型コラーゲン(BP180),ラミニン332 | |
幽門閉鎖合併型 | AR | α6/β4インテグリン | |
栄養障害型(DEB) | 優性型 | VII型コラーゲン | |
劣性中等症汎発型 | AR | VII型コラーゲン | |
劣性重症汎発型 | AR | VII型コラーゲン | |
Kindler症候群 | ー | AR | キンドリン-1 |
問題 57.1M 食塩水処理(4℃,48 時間)した正常皮膚を用いた蛍光抗体間接法(split skin 法)の IgG 染色で,図 11 のような所見がみられた.考えられる疾患はどれか.2 つ選べ.
1. 水疱性類天疱瘡
2. 後天性表皮水疱症
3. 妊娠性水疱性類天疱瘡
4. 抗 BP180 型粘膜類天疱瘡
5. 抗ラミニン 332 型粘膜類天疱瘡
2.5
1M食塩水処理皮膚を利用した鑑別法 あた261
1M食塩水処理で透明帯のところで皮膚が分離され,表皮基底膜に染色がみられる.
下図の基底膜下にあるタンパクであるラミニン332やVII型コラーゲンが標的蛋白.
- 17型コラーゲン(BP180)
- 7型コラーゲン
- 17型コラーゲン(BP180)
- 17型コラーゲン(BP180)
- ラミニン332
split skin 間接蛍光抗体法による粘膜類天疱瘡群の鑑別
表皮側 | 水疱性類天疱瘡 | 17型コラーゲン |
抗BP180型粘膜類天疱瘡 | 17型コラーゲン | |
妊娠類天疱瘡 | 17型コラーゲン | |
線状IgA水疱性皮膚症(17型コラーゲン) | 17型コラーゲン | |
Lichen planus pemphigoides | 17型コラーゲン | |
真皮側 | 後天性表皮水疱症 | 7型コラーゲン |
抗ラミニン332型粘膜類天疱瘡 | ラミニン332 | |
線状IgA水疱性皮膚症(7型コラーゲン,ラミニン332) | 7型コラーゲン,ラミニン332 | |
抗ラミニンγ1類天疱瘡 | ラミニンγ1 |
問題 58.わが国のサルコイドーシスの診断基準(2015)で,非乾酪壊死性類上皮細胞肉芽腫を示す皮膚病変を有し,他の肉芽腫・局所サルコイド反応を除外できている患者で,サルコイドーシスと診断するのに必要な他の条件は何か.
1. なし
2. BHL(両側肺門リンパ節腫脹)
3. 眼病変
4. 肺野病変
5. 皮膚以外の 2 病変
1
あた344
皮膚科の場合サルコイドーシスの皮疹から生検して,病理で乾酪壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫を認めれば確定診断.
問題 59.メラノサイトの減少を主病態とする疾患はどれか.3 つ選べ.
1. まだら症
2. 尋常性白斑
3. 脱色素性母斑
4. Vogt―小柳―原田病
5. Hermansky-Pudlak 症候群
1.2.4
色素異常症参照
病名 |
メラノサイトの性質 |
眼皮膚白皮症 OCA1-4型, Hermansky-Pudlak症候群, Chediak-Higashi症候群 |
メラノサイトの数や形は正常だが,未熟. |
尋常性白斑 | メラノサイトが後天的に消失or減少. |
まだら症 | メラノサイトの消失or減少. |
Sutton母斑 | メラニンに対する自己免疫.メラノサイトの変性. |
Vogt-小柳-原田病 | メラニンに対する自己免疫.メラノサイトの破壊 |
特発性滴状色素減少症(老人性白斑) | メラノサイトの老化,機能低下,減少 |
脱色素性母斑 | メラノサイトの機能低下.先天性,非遺伝性. |
問題 60.54 歳の女性.小学生の頃より,四肢伸側の皮膚に色素増強を認め,当科を受診した.四肢末端に図 12a~b の皮膚所見を呈し,手掌には点状陥没を認めた(図 12c の矢印).家族歴を図 12d に示す.最も考えられる疾患はどれか.
1. まだら症
2. Dowling-Degos 病
3. 網状肢端色素沈着症(北村)
4. 遺伝性汎発性色素異常症
5. 遺伝性対側性色素異常症(遠山)
3
色素異常症まとめ参照.
よく似ている遺伝対側性色素異常症 ,遺伝性汎発性色素異常症,網状肢端色素沈着症,Dowling-Degoes病の4疾患を鑑別させる問題.
- あた306 脱色素斑がないので✕
- 点状陥凹は認めない.
- あた312 ADで,点状陥凹を認め,色素増強のみで脱色素斑を認めないのでこれが正解.
- DSHの全身バージョンで脱色素斑を認める.点状陥凹は認めない.
- あた311 DSHは脱色素斑をみとめ,点状陥凹を認めないので✕
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