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- 記述問題
- 問題 1.69 歳,男性.6~7 年前より頸部,両側腋窩,胸部,両側鼠径部に瘙痒を伴う角化性病変と色素沈着が出現し,徐々に増悪した(図 23).最も考えられる疾患の原因遺伝子を記せ.
- 問題 2.図 24 の矢印に示すような,帯状疱疹で高率に眼合併症を伴う徴候は何か.
- 問題 3.48 歳,女性.2 か月前から両下腿に自覚症状のない皮疹が生じ難治である.図 25 に左下腿内側の皮疹を示す.診断のためにまず患者に尋ねるべきことは何か.
- 問題 4.リベド様血管症や静脈瘤症候群などでみられる白色病変(図 26)を何というか.英字で記せ.
- 問題 5.84 歳,女性.2 か月前より生じた口唇,両側口角のびらん,痂皮,肛門周囲の膿疱を主訴に来院した.口唇,舌と肛門の臨床所見(図 27a~b)と皮膚生検病理組織 HE 染色像と IgG の蛍光抗体直接法(図 27c~d)を示す.考えられる診断名を記せ.
- 問題6.大豆抗原であるGly m 4と高い相同性を有し,PR-10 に属するシラカンバ花粉のアレルゲンコンポーネントを記せ.
- 問題 7.25 歳,男性.ジントニック摂取後に四肢末梢,口唇,肛囲に軽度の瘙痒を伴う浮腫性紅斑や水疱が出現するというエピソードを繰り返している.原因となっていると思われる物質名を記せ.
- 問題 8.過去に独立した複数の施設から,ある疾患に対する薬剤 A の効果に関する臨床研究が発表されている.これらのデータを収集・統合して行う解析方法を何というか.
記述問題
問題 1.69 歳,男性.6~7 年前より頸部,両側腋窩,胸部,両側鼠径部に瘙痒を伴う角化性病変と色素沈着が出現し,徐々に増悪した(図 23).最も考えられる疾患の原因遺伝子を記せ.
ATP2A2
Darier病 あた279
通常は10~20歳ごろ発症.角化細胞に発言するカルシウムポンプ(SERCA2)をコードするATP2A2遺伝子変異の常染色体優性遺伝疾患.
夏は発汗により悪化.暗褐色の角化性丘疹が多発して,癒合して局面形成.病理は棘融解や絨毛形成をする点でHeilay-Heilay病(あた246)と似ているが,鑑別点としては,Darier病は角化性病変であり,異常角化が強く,顆粒体や,円形体が目立つ.
問題 2.図 24 の矢印に示すような,帯状疱疹で高率に眼合併症を伴う徴候は何か.
Hutchinson徴候
問題 3.48 歳,女性.2 か月前から両下腿に自覚症状のない皮疹が生じ難治である.図 25 に左下腿内側の皮疹を示す.診断のためにまず患者に尋ねるべきことは何か.
やけどの可能性がないか.もしくはAPSで流産歴.
問題 4.リベド様血管症や静脈瘤症候群などでみられる白色病変(図 26)を何というか.英字で記せ.
atrophie blanche
白色萎縮 あた188
問題 5.84 歳,女性.2 か月前より生じた口唇,両側口角のびらん,痂皮,肛門周囲の膿疱を主訴に来院した.口唇,舌と肛門の臨床所見(図 27a~b)と皮膚生検病理組織 HE 染色像と IgG の蛍光抗体直接法(図 27c~d)を示す.考えられる診断名を記せ.
増殖性天疱瘡
あた252
小水疱で始まるが,びらん面は再上皮化することなく次第に増殖隆起する.
問題6.大豆抗原であるGly m 4と高い相同性を有し,PR-10 に属するシラカンバ花粉のアレルゲンコンポーネントを記せ.
Bet v1
シラカンバの学名Betula verrucosaの頭文字からBet vがきていて,その1番目に発見されたアレルゲンからBet v1と名付けられている.
PR-10は花粉-食物アレルギー症候群の代表タンパクで,別名Bet v 1関連タンパクとよばれている.
食物アレルギーまとめも参照
花粉-食物アレルギー症候群(PFAS: Pollen-food allergy syndrome)
- 特定の花粉に感作された後その花粉との交差反応によって発症する食物アレルギー.
- 原因食品は植物性食品が多い.
- 原因食品摂取直後に口腔咽頭症状が限局して現れることが多い.
- 口腔アレルギー症候群(Oral allergy syndrome:OAS)と呼ばれることがある.
- 消化過程でエピトープが壊れやすいために口腔咽頭に限局すると考えられており,加熱すれば食べられることが多い.
- 豆乳,スパイスなどアナフィラキシーを起こしやすいPFASは厳格な除去が必要なこともある.
Bet v1関連タンパク(Pathogenesis-related protein type10: PR-10)
- カバノキ科(シラカンバ,ハンノキ)花粉の感作の9割がBet v 1で,Bet v1関連タンパク(Pathogenesis-related protein type10: PR-10)との交差反応が見られる.
- PR-10はバラ科の果物(サクランボ,リンゴ,モモ,ビワな,ナシ)との交差に注意が必要.
- 抗原は加熱などで失活しやすいのでImmunoCAPで偽陰性になることがある.
- PR-10によるPFASを疑った場合は特異的IgE検査のGly m 4が保険収載されているので,これを調べてみると陽性になることが多い.
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