H30-2018年度皮膚科専門医認定試験問題 81-92

平成30年度(2018年度)皮膚科専門医試験

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選択問題

問題 81.図 22 ①~⑤に示す病変とその説明の組合せで正しいのはどれか.


1. ①は露光部以外には生じない.
2. ②の腫瘍細胞は表皮角化細胞に分化している.
3. ③は掌蹠にも生じる.
4. ④の腫瘍細胞は付属器上皮内に進展しない.
5. ⑤は上皮内癌である.

1

  1. 日光角化症 あた449
  2. 基底細胞癌 あた446
  3. 脂漏性角化症 あた406 掌蹠には生じない.偽角化嚢腫+.
  4. Bowen病 あた451 個細胞角化,多核の異常角化細胞が表皮内に増殖.
  5. 尖圭コンジローマ あた496

問題 82.問題 81 で示した病変のうちイミキモド外用が保険適用となっているのはどれか.2 つ選べ.


1. ①
2. ②
3. ③
4. ④
5. ⑤

1.5

問題 83.副腎皮質ステロイドの効果を減弱させるのはどれか.


1. イトラコナゾール
2. エリスロマイシン
3. シクロスポリン
4. バラシクロビル
5. リファンピシン

5

ステロイドはCYP3A4で代謝されるため,CYP3A4を誘導する薬で減弱される.

リファンピシン,フェノバルビタール,フェニトイン,カルバマセピンなど

  1. CYP3A4阻害剤(ケトコナゾール,イトラコナゾール,エリスロマイシン)はステロイドを増強する.
  2. CYP3A4阻害剤(ケトコナゾール,イトラコナゾール,エリスロマイシン)はステロイドを増強する.
  3. ステロイド大量投与で,シクロスポリンの血中濃度が上昇する報告がある.
プレドニン錠添付文書
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子

バルビツール酸誘導体(フェノバルビタール)

フェニトイン

リファンピシン

本剤の作用が減弱することが報告されているので,併用する場合には用量に注意すること. バルビツール酸誘導体、フェニトイン,リファンピシンはCYPを誘導し、本剤の代謝が促進される.

サリチル酸誘導体(アスピリン、アスピリンダイアルミネート、サザピリン等)

併用時に本剤を減量すると,サリチル酸中毒を起こすことが報告されているので,併用する場合には用量に注意すること. 本剤はサリチル酸誘導体の腎排泄と肝代謝を促進し,血清中のサリチル酸誘導体の濃度が低下する.

抗凝血剤(ワルファリンカリウム)

抗凝血剤の作用を減弱させることが報告されているので,併用する場合には用量に注意すること. 本剤は血液凝固促進作用がある.

糖尿病用薬(ビグアナイド系薬剤,スルホニルウレア剤,速効型インスリン分泌促進剤,α-グルコシダーゼ阻害剤,チアゾリジン系薬剤,DPP-4阻害剤,GLP-1受容体作動薬,SGLT2阻害剤)

インスリン製剤等

糖尿病用薬,インスリン製剤等の効果を減弱させることが報告されているので,併用する場合には用量に注意すること. 本剤は肝臓での糖新生を促進し,末梢組織での糖利用を抑制する.

利尿剤(カリウム保持性利尿剤を除く)(フロセミド、アセタゾラミド、トリクロルメチアジド等)

低カリウム血症があらわれることがあるので,併用する場合には用量に注意すること.

本剤は尿細管でのカリウム排泄促進作用がある.

活性型ビタミンD3製剤(アルファカルシドール等)

高カルシウム尿症,尿路結石があらわれることがあるので,併用する場合には,定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと.また,用量に注意すること.

機序は不明である.

本剤は尿細管でのカルシウムの再吸収阻害、骨吸収促進等により,また,活性型ビタミンD3製剤は腸管からのカルシウム吸収促進により尿中へのカルシウムの排泄を増加させる.

シクロスポリン

他の副腎皮質ホルモン剤の大量投与で,シクロスポリンの血中濃度が上昇するとの報告があるので,併用する場合には用量に注意すること.

副腎皮質ホルモン剤はシクロスポリンの代謝を抑制する.

エリスロマイシン

本剤の作用が増強されるとの報告があるので,併用する場合には用量に注意すること.

本剤の代謝が抑制される.

非脱分極性筋弛緩剤(パンクロニウム臭化物、ベクロニウム臭化物)

筋弛緩作用が減弱又は増強するとの報告があるので,併用する場合には用量に注意すること.

機序は不明である.

キノロン系抗菌剤(レボフロキサシン水和物、メシル酸ガレノキサシン水和物等)

腱障害のリスクを増加させるとの報告がある.これらの薬剤との併用は,治療上の有益性が危険性を上回る場合のみとすること.

機序は不明である.

問題 84.先天異常により幽門閉鎖を伴う先天性表皮水疱症を発症する可能性のある基底膜周辺分子はどれか.2 つ選べ.


1. Collagen 4
2. Collagen 7
3. Collagen 17(BP180)
4. Integrin α6β4
5. Plectin

4.5

あた238

表皮水疱症の主な病型
大分類 小分類 遺伝形式 標的蛋白
単純型(EBS) 限局型 AD K5,14
中等症汎発型 AD K5,14
重症汎発型 AD K5,14
筋ジストロフィー合併型 AR プレクチン
幽門閉鎖合併型 AR プレクチン
外胚葉形成不全・皮膚脆弱性症候群 AR プラコフィリン1
接合部型(JEB) 重症汎発型 AR ラミニン332
中等症汎発型 AR XVII型コラーゲン(BP180),ラミニン332
幽門閉鎖合併型 AR α64インテグリン
栄養障害型(DEB) 優性型   VII型コラーゲン
劣性中等症汎発型 AR VII型コラーゲン
劣性重症汎発型 AR VII型コラーゲン
Kindler症候群 AR キンドリン-1

問題 85.DNA が 2 重鎖であることを発見した者は誰か.2 人選べ.


1. ロベルト・コッホ
2. ジェームズ・ワトソン
3. フランシス・クリック
4. チャールズ・ダーウィン
5. グレゴール・ヨハン・メンデル

2.3

問題 86.腎機能障害患者に慎重投与の必要性が記載されていない薬剤はどれか.


1. ビラスチン
2. ロラタジン
3. エピナスチン
4. オロパタジン
5. ベポタスチン

3

抗アレルギー薬参照

腎機能障害でも投与可能な抗アレルギー薬は,アレグラ(フェキソフェナジン),アレジオン(エピナスチン),アゼプチン(アゼラスチン),ザジテン(ケトフェチン),オノン(プランルカスト),ニポラジン(メキタジン),キプレス(モンテルカスト)

  1. ビラノア
  2. クラチリン
  3. アレジオン
  4. アレロック
  5. タリオン

問題 87.感染症法で診断後直ちに保健所への届出を義務付けられている疾患はどれか.3 つ選べ.


1. 結核
2. 梅毒
3. ライム病
4. つつが虫病
5. 劇症型溶血性レンサ球菌感染症

1.3.4

感染症法に基づく医師の届出参照

問題 88.カルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症について正しいのはどれか.


1. 院内感染をおこさない.
2. 喀痰や尿からは検出されない.
3. 空気感染予防が最も重要である.
4. セフェム系抗菌薬が効果を示しやすい.
5. 感染症法により保健所に届け出をしなければならない.

5

感染症法に基づく医師の届出参照

問題 89.平成 30 年度から開始された皮膚科新専門医制度の専攻医研修について正しいのはどれか.3 つ選べ.


1. 基幹施設のみの研修となってもよい.
2. 研修の開始は皮膚科学会入会時である.
3. 産休の期間も研修期間として認められる.
4. 大学院の期間は研修期間として認められる.
5. 一人医長でも一定の条件を満たせば研修期間として認められる.

3.4.5

産休期間は6ヶ月を上限.

問題 90.顆粒球吸着療法について,保険適用があるのはどれか.


1. 慢性膿皮症
2. 膿疱性乾癬
3. 角層下膿疱症
4. 壊疽性膿皮症
5. ベーチェット病

2

問題 91.指定難病はどれか.2 つ選べ.

1. 結節性硬化症
2. 乾癬性関節炎
3. 好酸球性筋膜炎
4. 硬化性萎縮性苔癬
5. 家族性良性慢性天疱瘡

1.5

指定難病参照

問題 92.皮膚科特定疾患指導管理料(I)を算定できるのはどれか.3 つ選べ.

1. 紅皮症
2. 扁平苔癬
3. 結節性痒疹
4. 円形脱毛症
5. アトピー性皮膚炎

1.2.3

保険診療点数まとめ参照

皮膚科特定疾患指導管理料(Ⅰ) 250点
天疱瘡,類天疱瘡,エリテマトーデス(紅斑性狼瘡),紅皮症,尋常性乾癬,掌蹠膿疱症,先天性魚鱗癬,類乾癬,扁平苔癬並びに結節性痒疹及びその他の痒疹(慢性型で経過が1年以上のものに限る。)
皮膚科特定疾患指導管理料(Ⅱ) 100点
帯状疱疹,じんま疹,アトピー性皮膚炎(16 歳以上の患者が罹患している場合に限る.),尋常性白斑,円形脱毛症及び脂漏性皮膚炎である.ただし,アトピー性皮膚炎については、外用療法を必要とする場合に限り算定できる。

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