H30-2018年度皮膚科専門医認定試験問題 1-20

平成30年度(2018年度)皮膚科専門医試験

手軽に答え合わせのみをしたい人は、目次を見てください.

目次から問題番号にジャンプもできます。

質問、意見、間違いなどがあればコメント欄ないしtwitterなどからコメントやDMいただけたら幸いです.

  1. 選択問題
    1. 問題1.シェーグレン症候群の診断基準ではガムテストが 10 分間で何 ml 以下であれば唾液分泌量低下とされているか.
      1. 3
    2. 問題2.手掌の原発性局所多汗症に対して保険適用がある薬剤,治療法はどれか.3 つ選べ.
      1. 2.4.5
    3. 問題3.Lichen planopilarisの亜型はどれか.2つ選べ.
      1. 4.5
    4. 問題4.男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017 年版(日本皮膚科学会)の男性の男性型脱毛症に推奨度 A の治療法はどれか.2 つ選べ.
      1. 1.4
    5. 問題5.図 1 に円形脱毛症のダーモスコピー所見を示す.認められる所見はどれか.2 つ選べ.
      1. 1.3
    6. 問題6.脱毛をきたす疾患はどれか.
    7. 問題 7.色素性乾皮症の variant 群について正しいのはどれか.2 つ選べ.
      1. 3.4
    8. 問題 8.慢性光線性皮膚炎について正しいのはどれか.3 つ選べ.
      1. 3.4.5
    9. 問題 9.尋常性痤瘡の治療法の中で,面皰改善作用が乏しいのはどれか.
      1. 3
    10. 問題 10.多発性脂腺嚢腫で変異が見られることがあるケラチンはどれか.
      1. 5
    11. 問題 11.インターロイキン-5 が作用する主な細胞はどれか.
      1. 4
    12. 問題 12.表皮内ランゲルハンス細胞数が著明に減少あるいは消失する疾患はどれか.2 つ選べ.
      1. 3.4
    13. 問題 13.免疫応答に主に抑制的に働くものはどれか.
      1. 3
    14. 問題 14.IgG4 について正しいのはどれか.3 つ選べ.
      1. 2.4.5
    15. 問題 15.魚鱗癬について正しいのはどれか.2 つ選べ.
      1. 1.5
    16. 問題 16.21 歳,女性.出生時より手掌,足底に限局した角化を認めていた(図 2a).生検組織像を図 2b に示す.診断はどれか.
      1. 4
    17. 問題 17.Secukinumab(コセンティクスⓇ ),Ixekizumab(トルツⓇ),Brodalumab(ルミセフⓇ)に共通しているのはどれか.
      1. 5
    18. 問題 18.乾癬様皮疹が認められる疾患はどれか.3 つ選べ.
      1. 1.2.3
    19. 問題 19.乾癬に保険適用をもつ外用剤で,カルシポトリオールとの合剤に使用されているステロイドはどれか.
      1. 2
    20. 問題 20.17 歳,女性.両肩から上腕にかけて,痒みを伴う発疹があり受診した(図 3).紅斑部からの生検像で,苔癬型組織反応がみられた.本疾患に最も関連性が高いのはどれか.
      1. 4

選択問題

問題1.シェーグレン症候群の診断基準ではガムテストが 10 分間で何 ml 以下であれば唾液分泌量低下とされているか.

1. 0.1 ml
2. 1 ml
3. 10 ml
4. 100 ml
5. 1,000 ml

3

ガムテストは10分間で10ml以下

cf. Schirmer試験は5分で5mm以下

問題2.手掌の原発性局所多汗症に対して保険適用がある薬剤,治療法はどれか.3 つ選べ.

1. 塩化アルミニウム水溶液
2. 水道水イオントフォレーシス
3. ボツリヌス菌毒素 A 局所注射用製剤
4. プロパンテリン(プロ・バンサインⓇ)錠
5. 内視鏡下胸部交感神経遮断術

2.4.5


塩化アルミニウムは院内製剤など

内服はプロパンテリンのみ保険適応
ボツリヌス菌毒素A局所注射製剤は重症の腋窩多汗症のみに2012年11月から保険適応

問題3.Lichen planopilarisの亜型はどれか.2つ選べ.

1. Alopecia mucinosa
2. Erosive pustular dermatosis
3. Folliculitis decalvans
4. Frontal fibrosing alopecia
5. Graham-Little syndrome

4.5

Lichen planopilaris(LPP) 毛孔性扁平苔癬
毛孔性扁平苔癬脱毛斑の周囲の毛孔に毛孔一致性丘疹、瘢痕性脱毛、扁平苔癬
脱毛斑の中心部に紅斑は認めない.

セミナリウム「原発性瘢痕性脱毛症最新のマネイジメント」からの出題.


原発性瘢痕性脱毛症(primary cicatricial alopecia:PCA)は毛包が主な標的となる疾患で,不可逆性かつ進行性の脱毛であり,早期の診断と脱毛の進行を抑えるための急性期の治療が極めて重要である.稀な疾患で認知度が低く治療法が確立されていないことから診断や治療に難渋することが多い.

下記分類を覚えていれば解答できる.

原発性瘢痕性脱毛症(PCA)の分類

リンパ球性 慢性皮膚エリテマトーデス Chronic cutaneous lupus erythematosus(CCLE)
毛孔性扁平苔癬 Lichen planopilaris (LPP)
  ーClassic LPP
  ー前頂部線維性脱毛症 Frontal fibrosing alopecia (FFA)
  ーGraham-Little syndrome
萎縮性脱毛症 Classic pseudopelade (Brocq)
中心遠心性瘢痕性脱毛症 Central centrifugal cicatricial alopecia (CCCA)
毛包性ムチン沈着症 Alopecia mucinosa (AM)
Keratosis follicularis spinulosa decalvans (KFSD)
好中球性 禿髪性毛包炎 Folliculitis decalvans (FD)
解離性蜂巣炎 Dissecting cellulitis (DC)
混合性 ケロイド性毛包炎 Folliculitis (acne) keloidalis (FK)
壊死性毛包炎 Folliculitis (acne) necrotica (FN)
Erosive pustular dermatosis (EPD)
非特異性 臨床および病理組織学的所見で分類不能な特発性

  1. Alopecia mucinosa 毛包性ムチン沈着症
    リンパ球性
    ①毛孔性丘疹
    ②局面性隆起性紅斑
    ③脱毛
    の3主徴
    病理 脂腺内や外毛根鞘ないに酸性ムコ多糖類の沈着、同部医の上位細胞の網状変性
    治療はステロイド内服外用、インドメタシン、MINO
    cf. アルシアンブルー染色 酸性粘液多糖類が青色に染色
  2. Esosive pustular dermatosis 皮315
    混合性
    高齢女性の頭部に好発
    膿疱、痂疲、びらん局面を形成し、後に瘢痕性脱毛
    抗生剤は無効 ステロイドやタクロリムス外用に反応 しばしば外傷が先行
  3. Folliculitis decalvans 禿髪性毛包炎
    好中球性
  4. Frontal fibrosing alopecia 前頂部線維性脱毛症
    リンパ球性
    LPPの亜型
    前頭部の生え際が脱毛
  5. Graham-Little syndrome
    リンパ球性
    ①頭部の瘢痕性脱毛
    ②腋窩・恥毛の非瘢痕性脱毛
    ③躯幹四肢に多発する毛孔性角化性丘疹
    を3徴とするLPPの亜型

問題4.男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017 年版(日本皮膚科学会)の男性の男性型脱毛症に推奨度 A の治療法はどれか.2 つ選べ.

1. ミノキシジル外用
2. カルプロニウム塩化物外用
3. ケトコナゾール外用
4. フィナステリド内服
5. 自毛植毛術

1.4

ミノキシジル外用,フィナステリド内服 A

自毛植毛術 B

カルプロニウム塩化物外用、ケトコナゾール外用 C1

問題5.図 1 に円形脱毛症のダーモスコピー所見を示す.認められる所見はどれか.2 つ選べ.

1. black dot
2. hair tufting
3. exclamation mark hair
4. perifollicular erythema
5. follicular microhemorrhage

1.3

  1. black dot 黒点
    毛穴につまった萎縮した毛の塊
  2. exclamation mark hair 感嘆符毛
    細く切れた毛で根本が細い
  3. hair tufting
    瘢痕性脱毛症にみられる房状の髪 1つの毛包から10-15本の毛が生えること.
  4. perifollicular erythema
    frontal fibrosing alopeciaでみられる.
  5. follicular microhemorrhage
    Trichotillomania(抜毛症)でみられる.

問題6.脱毛をきたす疾患はどれか.

1. Bazex 症候群
2. Cushing 症候群
3. 中條・西村症候群
4. Peutz-Jeghers 症候群
5. Cronkhite-Canada 症候群

  1. Bazex症候群 あた299
    腫瘍随伴性先端角化症
    四肢末端、鼻尖などに対称性に乾癬に類似した紅色局面が出現し、その数ヶ月後に内蔵悪性腫瘍が顕在化するものをいう。角化病変は悪性腫瘍の病勢に並行する.
  2. Cushing 症候群
    高コルチゾール血症.
    皮膚のひ薄化および皮下溢血. 異所性ACTH産生症候群では皮膚粘膜に色素沈着を認めることが多い.
  3. 中條・西村症候群 あた218
    PSMB8遺伝子変異。常染色体劣性遺伝.
    細胞内のプロテアソーム活性が低下することによって発症.
    幼小児期に凍瘡様皮疹にて発症し, 結節性紅斑様皮疹や周期性発熱を繰り返しながら, 次第に長く節くれ立った指、顔面と上肢を主体とする部分的脂肪筋肉萎縮が進行する.
  4. Peutz-Jeghers 症候群 あた396
    STK11遺伝子変異.常染色体優性遺伝.
    生下時~幼児期に色素沈着が出現.
    口唇や口腔粘膜や四肢末端の対称性の色素沈着, 消化管ポリポーシス.
    色素斑は,楕円の長軸が皮膚紋理の流線方向に一致.
    ダーモスコピーは,皮丘優位の色素増強.parallel ridge pattern.
  5. Cronkhite-Canada 症候群 あた397
    消化管ポリポーシス,色素斑はPeutz-Jeghers 症候群と似ている.
    中年期以降に発症し,脱毛や脱色素斑,爪甲異常を認める.

問題 7.色素性乾皮症の variant 群について正しいのはどれか.2 つ選べ.


1. 我が国の色素性乾皮症の中で最も多い.
2. ほとんどの症例で血族結婚がある.
3. 神経症状はほとんど見られない.
4. 不定期 DNA 合成能に問題はない.
5. MED が著明に低下している.

3.4

あた234

常染色体劣性遺伝.
DNA修復過程に先天的障害があり,光線過敏と神経症状をきたす.
損傷乗り換えDNA合成の異常(H27-6)

成長とともに悪性腫瘍を合併しやすい.遮光が重要.

  1. A(55%)>V(25%)>D,F
  2. 1/3程度
  3. UDSは正常かやや低下
  4. MEDはほぼ正常

XP の原因遺伝子とその臨床および細胞学的特徴

相補性群 原因遺伝子 臨床症状 細胞学的特性
皮膚症状 神経症状 UDS(%) 紫外線致死
感受性(D0)(J/m2
光線過敏 BCC 初発
平均年齢
A XPA +++ 9.7 ++ <5 0.4
B XPB/ERCC3 ++ -~++ 3~7  
C XPC ++ 14.0 10 ~ 20 1.0
D XPD/ERCC2 ++ 38.0 -~++ 20 ~ 50 0.77
E DDB2 38.3 40 ~ 60 2.2 ~ 2.4
F XPF 43.7 -~+ 10 ~ 20 0 1.7 ~ 2.2
G ERCC5 ++ 32 -~++ <5 0.6
V POLH 41.5 75 ~ 100 2.4 ~ 4.5

UDS:unscheduled DNA Synthesis 不定期 DNA 合成能

D0:37% 細胞生存率を与える紫外線線量
:サンバーンは生じない((MED低下なし)

色素性乾皮症診療ガイドラインより引用,改変

問題 8.慢性光線性皮膚炎について正しいのはどれか.3 つ選べ.


1. 一般に瘙痒は軽い.
2. 男性より女性に多い.
3. 皮疹には浸潤が強い.
4. タクロリムス軟膏が有効である.
5. UVB で MED 低下が顕著である.

3.4.5

あた233

  1. そう痒を伴う.
  2. 中年男性に好発
  3. 苔癬化局面を主体とした難治性湿疹性病変
  4. タクロリムス外用が有効.徹底した遮光が重要.ステロイド外用内服も考慮される.
  5. MEDの著名な低下.MRDの低下や可視光線への過敏症がみられる.UVB反復照射による湿疹様病変の出現を確認.

問題 9.尋常性痤瘡の治療法の中で,面皰改善作用が乏しいのはどれか.

1. アダパレン
2. グリコール酸
3. アスコルビン酸
4. 過酸化ベンゾイル
5. サリチル酸マクロゴール

3

  1. ディフェリンゲル
  2. ケミカルピーリングで使用
  3. ビタミンC
  4. ベピオゲル
  5. ケミカルピーリングで使用

問題 10.多発性脂腺嚢腫で変異が見られることがあるケラチンはどれか.


1. ケラチン 9
2. ケラチン 11
3. ケラチン 13
4. ケラチン 15
5. ケラチン 17

5

あた418 3-30mmほどの大きさで,腋窩,前胸部,上腕などに好発.正常皮膚色から淡黄色,淡青色調の半球状に隆起した硬い腫瘍.

先天性爪甲肥厚症(あた374)で多発性に生じることから類推してK17を選択する問題.

ケラチン 主な発現部位 疾患
K1,10 有棘層 表皮融解性魚鱗癬
K2 顆粒層 表在性表皮融解性魚鱗癬
K3,12 角膜上皮細胞 Meesmann角膜ジストロフィ
K4,13 粘膜 白色海綿状母斑
K5,14 表皮の基底細胞 単純型表皮水疱症
K6A,16,6B,17

先天性爪甲肥厚症
K9 掌蹠の有棘層から顆粒層の角化細胞 Vörner 型掌蹠角化症 

問題 11.インターロイキン-5 が作用する主な細胞はどれか.


1. T 細胞
2. B 細胞
3. 好中球
4. 好酸球
5. 肥満細胞

4

IL-5は別名EDF(eosinophilic differentiation factor)と呼ばれる.

問題 12.表皮内ランゲルハンス細胞数が著明に減少あるいは消失する疾患はどれか.2 つ選べ.

1. 成人 Still 病
2. ジベルばら色粃糠疹
3. 中毒性表皮壊死症(TEN)
4. 急性移植片対宿主病(急性 GVHD)
5. 慢性移植片対宿主病(慢性 GVHD)

3.4

TENの病理組織像が,急性GVHDに非常によく似ていることを問う問題.

おもにⅣ型アレルギーによる.


TENの作用機序
①表皮の抗原提示細胞であるLangerhans細胞や標的となる表皮角化細胞のmajor histocompatibility complex(MHC)クラスⅠ・Ⅱ抗原やnon-humanleukocyte antigen(non-HLA)抗原が薬剤で修飾されてアロ抗原になる。
②それをT cell receptor(TCR)により認識したT細胞が活性化し,CD8+Tc1細胞(別名cytotoxic T lymphocyte, CTL)のバーストが起こる。
③産生されたtumor necrosis factor(TNF)-α/interferon(IFN)-γが表皮角化細胞にCD95(fas)/CD95L(fasL)の発現誘導を促進し,表皮角化細胞や表皮Langerhans細胞をアポトーシスに導く

問題 13.免疫応答に主に抑制的に働くものはどれか.


1. IL-1
2. IL-6
3. IL-10
4. IFN-γ
5. TNF-α

3

IL-10やTGF-βは抑制的に働く.

紫外線照射による接触皮膚炎反応で免疫抑制を誘導するが,このときにランゲルハンス細胞が産生するIL-10が重要である.

問題 14.IgG4 について正しいのはどれか.3 つ選べ.


1. IL-4 産生細胞が産生する.
2. Th2 タイプのサイトカインで誘導される.
3. 1 分子で認識できる抗原はひとつである.
4. 健常人の血清濃度は全 IgG の 5%以下である.
5. 血清濃度が 135 mg/dl 以上であれば IgG4 関連疾患を考慮する.

2.4.5

あた217

セミナリウム「IgG4関連疾患」から出題
マルホ皮膚セミナー「IgG4関連疾患」も参照.

  1. 形質細胞によって産生される.Th2細胞(IL-4,IL-13),Treg細胞(IL-10.TGF-β)によって産生誘導される.
  2. 上記より○
  3. IgG4は分泌された後,他のIgGと異なり,Fab領域が他のFabと交換され,1分子で異なった 2つの抗原を認識(bispecific antibody)できるようになる.こうしてできたbispecific抗体は抗原を架橋せず,免疫複合体形成能の低下によって抗炎症作用を示す.
  4. IgG1(65%),IgG2(23%),IgG3(8%),IgG4(4%)

問題 15.魚鱗癬について正しいのはどれか.2 つ選べ.


1. KID 症候群では角膜炎が特徴的である.
2. 葉状魚鱗癬では KRT1 の変異がみられる.
3. 道化師様魚鱗癬では SPINK5 のある
4. Netherton 症候群では痙性四肢麻痺が多くみられる.
5. 表皮融解性魚鱗癬(水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症)では加齢に伴い水疱形成が減少する.

1.5

  1. KID症候群 あた275;角膜炎(Keratitis),魚鱗癬(Ichthyosis),聴覚障害(Deafness).GJB2遺伝子変異による常染色体優性遺伝.
  2. 葉状魚鱗癬 あた271;常染色体劣性遺伝.大部分の症例では周辺帯の形成に関与するTGM1の欠損により発症.そのほかABCA12NIPAL4ALOXB12など.
  3. 道化師様魚鱗癬 あた271;常染色体劣性遺伝.ABCA12遺伝子変異.ABCA12は層板顆粒に存在する脂質輸送蛋白.出生前診断の適応.
  4. Netherton症候群 あた275;常染色体劣性遺伝.LEKIT(lympho-epithelial Kazal-type related inhibiter)の一種で,セリンプロテアーゼインヒビターのKazal-type5(SPINK5)をコードするSPINK5遺伝子変異により生じる.曲折様状魚鱗癬,結節性裂毛,アトピー素因の3徴.成長障害や精神遅滞を伴うことはるが,神経症状は認めない.Sjögren-Larsson症候群とのひっかけ問題.
    Sjögren-Larsson症候群 あた275;先天性魚鱗癬,痙性四肢麻痺,精神遅滞の3徴.脂肪アルデハイド脱水素酵素(fatty aldehyde dehydrogenase: FALDH)をコードするALDH3A2遺伝子の変異により、組織内に脂肪アルコールや脂肪アルデヒドなどが蓄積することによって発症.
  5. 表皮融解性魚鱗癬(水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症;bullous congenital ichthyosiform erythroderma;BCIE)あた273;KRT1,KRT10遺伝子変異による.ほとんどが常染色体優性遺伝だが,まれに劣性遺伝の報告もある.乳幼児期は物理的刺激を受けた部位に水疱形成を繰り返すが,成長とともに水疱形成は減少する.病理では,顆粒層から有棘層にかけて大型のケラトヒアリン顆粒をもつ空胞化細胞がみられる(顆粒変性).

問題 16.21 歳,女性.出生時より手掌,足底に限局した角化を認めていた(図 2a).生検組織像を図 2b に示す.診断はどれか.

1. Meleda 病
2. 線状掌蹠角化症
3. 長島型掌蹠角化症
4. Vörner 型掌蹠角化症
5. Unna-Thost 型掌蹠角化症

4

病理は肥厚した角質と,顆粒変性
手掌,足底に限局で,1.3は消えて,顆粒変性で2.5が消える.

掌蹠角化症の手引きも一読しておくとよい.

  1. Meleda病 あた278;SLURP1遺伝子変異にる常染色体劣性遺伝.出生直後から紅潮を伴った過角化.成長とともに手背足背,肘膝に拡大し絞扼輪を形成.手掌足底に限局しないので✕.
  2. 線状掌蹠角化症 あた278;常染色体優性遺伝.KRT1,DSG1,DSP遺伝子変異.病理は表皮細胞間隙の拡大.
  3. 長島型掌蹠角化症 あた277;SERPINB7遺伝子変異.常染色体劣性遺伝.過角化は掌蹠に限局しない.
  4. 5.Vörner 型掌蹠角化症,Unna-Thost 型掌蹠角化症 あた277;両者とも手背,足背に症状をきたさない.KRT1,KRT9遺伝子変異で常染色体優性遺伝.顆粒変性のあるものをVörner 型掌蹠角化症,ないものをUnna-Thost 型掌蹠角化症と区別する.

問題 17.Secukinumab(コセンティクスⓇ ),Ixekizumab(トルツⓇ),Brodalumab(ルミセフⓇ)に共通しているのはどれか.


1. 適用疾患
2. IgG1 抗体
3. ヒト型抗体
4. 抗 IL-17 抗体
5. 投与禁忌項目

5

  1. コセンティクスには乾癬性紅皮症の適応はない.
レミケード ヒュミラ ステラーラ トレムフィア スキリージ イルミア コセンティクス トルツ ルミセフ
インフリキシマブ アダリムマブ ウステキヌマブ グセルクマブ リサンキズマブ チルドラキズマブ セクキヌマブ イキセキズマブ プロダルマブ
キメラ型 ヒト型 ヒト型 ヒト型 ヒト化型 ヒト化型 ヒト型 ヒト化型 ヒト型
TNF-α

IL12/IL-23p40

IL-23p19

IL-17A IL-17RA
点滴 皮下自己 皮下 皮下 皮下 皮下 皮下自己 皮下自己 皮下自己
脱髄疾患✕         炎症性腸疾患✕

尋常性乾癬

関節症性乾癬

膿疱性乾癬

乾癬性紅皮症

尋常性乾癬

関節症性乾癬

膿疱性乾癬

化膿性汗腺炎

壊疽性膿皮症

尋常性乾癬

関節症性乾癬

尋常性乾癬

関節症性乾癬

膿疱性乾癬

乾癬性紅皮症

掌蹠膿疱症

尋常性乾癬

関節症性乾癬

膿疱性乾癬

乾癬性紅皮症

尋常性乾癬

尋常性乾癬

関節症性乾癬

膿疱性乾癬

尋常性乾癬

関節症性乾癬

膿疱性乾癬

乾癬性紅皮症

尋常性乾癬

関節症性乾癬

膿疱性乾癬

乾癬性紅皮症

増量,投与間隔短縮可 倍量可 倍量可 なし 半量可 なし 半量可 投与間隔半減可 なし

投与日程についての出題歴もあり.

乾癬生物学的製剤まとめ参照

問題 18.乾癬様皮疹が認められる疾患はどれか.3 つ選べ.


1. 梅毒
2. IgG4 関連疾患
3. 反応性関節炎(Reiter 症候群)
4. Crow-Fukase(POEMS)症候群
5. クリオピリン関連周期熱症候群(CAPS)

1.2.3

  1. あた556 2期梅毒は乾癬様皮疹をみとめる.形質細胞浸潤あり
  2. あた217 乾癬との鑑別点は,IgG4陽性の形質細胞浸潤と,血管壁へのIgG4の沈着.
  3. あた216 HLA-B27関連疾患.尿道炎(特にクラミジア感染)などの感染症の反応として生じる.多発性関節炎,尿道炎,結膜炎(3主徴).多くは6ヶ月以内に自然治癒.約15%の症例で手掌足底に紅斑や丘疹が出現し,融合して角化性局面を形成して時に膿疱を伴う.病理学的に乾癬と区別がつかない.
  4. あた425 Polyneuropathy, Organomegaly of liver, Spleen or lymph nodes, Endocrinopathy, M-protein, Skin lesions.皮膚病変は糸球体様血管腫,色素沈着,多毛症,強皮症様のびまん性硬化,ばち指,リベド,レイノー症状など.
  5. あた217 NLRP3遺伝子変異.常染色体優性遺伝.IL-1βの異常産生による.寒冷刺激によって膨疹,関節痛,発熱をきたす.家族性寒冷じんま疹,Muckle-Wells症候群,慢性乳児神経皮膚関節症候群の3型に分類される.

問題 19.乾癬に保険適用をもつ外用剤で,カルシポトリオールとの合剤に使用されているステロイドはどれか.


1. ベタメタゾン吉草酸エステル
2. ベタメタゾンジプロピオン酸エステル
3. クロベタゾールプロピオン酸エステル
4. デキサメタゾンプロピオン酸エステル
5. ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル

2

カルシポトリオール+ベタメタゾンジプロピオン酸エステル=ドボベット

マキサカルシトール+ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル=マーデュオックス

  1. リンデロンV,ベトネベート
  2. リンデロンDP,ヒズボット,ダイブロセル
  3. デルモベート,コムクロシャンプー
  4. メサデルム
  5. アンテベート

問題 20.17 歳,女性.両肩から上腕にかけて,痒みを伴う発疹があり受診した(図 3).紅斑部からの生検像で,苔癬型組織反応がみられた.本疾患に最も関連性が高いのはどれか.


1. HCV 感染症
2. 急激な体重増加
3. 繰り返す喘息発作
4. ペットボトル飲料の過飲
5. アロマオイル使用後の光線曝露

4

色素性痒疹 あた137

思春期の女性で,糖質制限などの急激なダイエットが契機になることがある.

ケトーシスが原因といわれているが,はっきりとした原因は不明.

背部や項部,上胸部に好発する.そう痒の強い蕁麻疹様紅斑として出現し,痒疹様の紅色丘疹を反復して治癒後に網状の色素沈着を残す.

ペットボトル症候群によるケトーシスで4.

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