アトピー性皮膚炎治療薬

皮膚科専門医試験対策

アトピー性皮膚炎治療薬概略

ステロイド外用以外の主な外用薬

製品名 プロトピック コレクチム モイゼルト
一般名 タクロリムス デルゴシチニブ ジファミラスト
標的分子 カリシュニューリン JAK PDE4
適応年齢 2歳~ 6ヶ月~ 3ヶ月~
濃度 成人 0.1%
小児 0.03%
成人 0.5%
小児 0.25%
成人 1%
小児 0.3%
分子量 1202 310 446
1回の上限量 5g(成人の場合) 5g(体表の30%) なし
特記事項 初期の刺激感
紫外線療法は禁忌
  ざ瘡の率が少ない

分子標的薬(内服)

製品名 ネオーラル オルミエント リンヴォック サイバインコ リットフロー
一般名 シクロスポリン バリシチニブ ウパダシチニブ アブロシチニブ リトレシチニブ
標的分子 カルシニューリン JAK1,2 JAK1 JAK1 JAK3/TEC
適応疾患
皮膚科領域
アトピー性皮膚炎
尋常性乾癬 円形脱毛症 関節症性乾癬 円形脱毛症
適応年齢 16歳~ 2歳~ 12歳~(30kg~) 12歳~ 12歳~
AD適応条件 炎症が体表面積の30%以上 IGA, EASI,皮疹の面積 適応なし
代謝経路 肝代謝 腎代謝 肝代謝 肝代謝 肝代謝
容量
赤字は通常量
3-5mg/kg/日分2 2,4mg 15,30mg 100,200mg 50mg
減量可 増量可 増量可
投与前スクリーニング 決まったものはない 乾癬生物学的製剤に準ずる
特記事項(私見含む) 血中濃度測定
腎機能
高血圧
スタチン
グレープフルーツ
紫外線療法
ヘルペス感染
ざ瘡
脂質検査値異常
腎機能異常、プロベネシドは減量考慮
ヘルペス感染
ざ瘡
グレープフルーツ注意
ヘルペス感染
ざ瘡
副作用は他のJAK阻害薬よりマイルドな印象

分子標的薬(注射)

商品名 デュピクセント アドトラーザ イブグリース ミチーガ
一般名 dupilumab tralokinumab lebrikizumab nemolizumab
標的分子 IL-4,13 IL-13 IL-31
抗体の種類 ヒト型 ヒト型 ヒト化型 ヒト化型
適応疾患
皮膚科領域
アトピー性皮膚炎 アトピー性皮膚炎のそう痒
結節性痒疹
慢性蕁麻疹
適応年齢 6ヶ月~ 15歳~ 12歳~(40kg~) 6歳~
適応条件 IGA, EASI,皮疹の面積 そう痒VAS,NRS,かゆみスコア,EASI
投与間隔 2w 2w 2w(4wに延長可) 4w
容量 初回600mg
維持300mg
小児は体重ごと
初回600mg(4本)
維持300mg(2本)
初回500mg
2回目500mg
維持250mg
60mg
30mg(6-13歳)
検査 投与前スクリーニングの必要なし
特記事項(私見含む) 顔面の効きが悪い
結膜炎
注射の本数が多い   初期にTARC上昇
炎症はとれない

シクロスポリン(ネオーラル®)

  • 16歳以上で,治療抵抗性な強い炎症が体表面積の30%以上の患者に適応.
  • 3mg/kg/日を2回に分けて内服.5mg/kg/日を超えないように.
  • 8週で効果なければ中止.
  • 1回の治療期間は12週間以内.
  • 使用中は腎障害や高血圧,感染症などに注意し定期的に薬剤血中濃度(トラフ値)を測定する.
  • H26-43

タクロリムス(プロトピック®)

  • カルシニューリン阻害薬
  • びらん,潰瘍面には使用不可.
  • 16歳以上は0.1%軟膏,2~15歳は小児用の0.03%軟膏
  • 2歳未満の小児は使用不可.
  • 妊産婦,授乳婦は有益性考慮の上.
  • プロトピックのチューブは口径が小さく1FTU=0.25gなので2FTUで大人の手のひら2枚分
  • 2週間以内に改善なければ中止を検討する.
  • 1回使用量が年齢ごとに決まっている.
濃度 0.03%軟膏 0.1%軟膏
年齢 2-5歳 6-12歳 13-16歳 16歳以上
体重 20kg未満 20-50kg 50kg以上  
1回量(2回まで) 1g 2-4g 5g 5g

デルゴシチニブ(コレクチム®)

  • JAK ファミリーのキナーゼ(JAK1,JAK2,JAK3,TYK2)のすべてを阻害する.
  • 通常16歳以上は0.5%軟膏,2~15歳は0.25%軟膏を使用する.
  • 1回使用量は5gまで.体表面積の30%まで.
  • 1 日 2 回の塗布の間隔は 12 時間程度あけることが望ましい.
  • 小児に0.5%軟膏を使用した場合は,改善したら0.25%軟膏への変更を検討する.
  • 4週間以内に改善なければ中止を検討する.

JAK阻害薬

JAKとそれに関連する受容体の一覧

Front Immunol. 2019 Dec 3;10:2847.

アトピー性皮膚炎関連サイトカインと各種治療薬

J Allergy Clin Immunol. 2021 Oct;148(4):927-940.

デュピクセント,JAK阻害薬適応基準

  • IGAスコア 3以上
  • EASIスコア 16以上、又は顔面の広範囲に強い炎症を伴う皮疹を有する(目安として頭頸部のEASIスコアが2.4以上)
  • 体表面積に占めるアトピー性皮膚炎病変の割合が10%以上

投与開始時の下記情報を診療明細書の摘要欄に記載が必要

  1. 次に掲げる医師が本製剤に関する治療の責任者として配置されている施設(「施設要件ア」又は「施設要件イ」と記載)
    • ア 医師免許取得後2年の初期研修を終了した後に、5年以上の皮膚科診療の臨床研修を行っていること。
    • イ 医師免許取得後2年の初期研修を終了した後に6年以上の臨床経験を有していること。うち、3年以上は、アトピー性皮膚炎を含むアレルギー診療の臨床研修を行っていること。
  2. 本剤投与前の抗炎症外用薬による治療の状況(「前治療要件ア」又は「前治療要件イ」と記載)
    • ア 成人アトピー性皮膚炎患者であって、アトピー性皮膚炎診療ガイドラインで重症度に応じて推奨されるステロイド外用薬(ストロングクラス以上)やカルシニューリン阻害外用薬による適切な治療を直近の6カ月以上行っている
    • イ 成人アトピー性皮膚炎患者であって、ステロイド外用薬やカルシニューリン阻害外用薬に対する過敏症、顕著な局所性副作用若しくは全身性副作用により、これらの抗炎症外用薬のみによる治療の継続が困難
  3. 疾患活動性の状況として、次に掲げるすべての項目の数値
    • ア IGA スコア
    • イ 全身又は頭頸部の EASI スコア
    • ウ 体表面積に占めるアトピー性皮膚炎病変の割合(%)

ネモリズマブ(ミチーガ®)

  • ヒト化抗ヒトIL-31受容体Aモノクローナル抗体
  • 13歳以上
  • 60mgを4w間隔で投与

ミチーガ投与基準

ミチーガ投与前チェックシートも参照のこと。

医師要件

以下のいずれかの基準をみたしている。

  • ア 医師免許取得後2年の初期研修を終了した後に、5年以上の皮膚科診療の臨床研修を行っていること。
  • イ 成人アトピー性皮膚炎患者に投与する場合であって、医師免許取得後2年の初期研修を終了した後に6年以上の臨床経験を有していること。うち、3年以上は、アトピー性皮膚炎を含むアレルギー診療の臨床研修を行っていること。
  • ウ 小児アトピー性皮膚炎患者に投与する場合であって、医師免許取得後2年の初期研修を終了した後に3年以上の小児科診療の臨床研修及び3年以上のアトピー性皮膚炎を含むアレルギー診療の臨床研修を含む6年以上の臨床経験を有していること。

患者要件

13歳以上のアトピー性皮膚炎患者であること。

  • 本剤投与前の治療の状況
    • ア ステロイド外用薬(ストロングクラス以上)やカルシニューリン阻害外用薬による適切な治療を直近の4週間以上継続している。
    • イ 抗ヒスタミン薬又は抗アレルギー薬による内服治療を2週間以上継続している。
  • 疾患活動性

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