R2-2020年度皮膚科専門医認定試験問題 41-60

令和2年度(2020年度)皮膚科専門医試験

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選択問題

問題 41.国際基準として用いられている天疱瘡重症度判定基準 IIa(Pemphigus Disease Area Index 完全版)に含まれている評価項目はどれか.

1. Nikolsky 現象
2. 水疱の新生数/日
3. 頭皮のびらん・水疱または新しい紅斑
4. 天疱瘡抗体価(間接蛍光抗体法,ELISA 法)
5. 皮膚病変部の面積(全体表面積に対する比率)

3

天疱瘡診療ガイドラインスコアリング参照

PDAIは,

  1. 皮膚のびらん・水疱または新しい紅斑
  2. 頭皮のびらん・水疱または新しい紅斑
  3. 粘膜のびらん水疱

各スコアの合計で,25点以上が重症,9~24点が中等症,8点以下が軽症に分類.

天疱瘡重症度判定基準Ⅰは,

  1. 皮膚病変部の面積
  2. Nikolsky現象
  3. 水疱の新生数/日
  4. 間接蛍光抗体法
  5. ELISA法
  6. 口腔粘膜病変

合計スコアの10点以上が重症,6~9点が中等症,5点以下が軽症.

ちなみにBPDAIは,

  1. 皮膚のびらん・水疱
  2. 皮膚の膨疹・紅斑
  3. 粘膜のびらん水疱

の各スコアで判定を行い,最も高い重症度を採用.

問題 42.先天性表皮水疱症の病型と原因遺伝子の組み合わせで正しいのはどれか.2 つ選べ.

1. 単純型表皮水疱症 Dowling-Meara 型――――――――ケラチン 1,ケラチン 10
2. 接合部型表皮水疱症 Herlitz 型――――――――ラミニン 332
3. 接合部型表皮水疱症 軽症汎発性萎縮型(非Herlitz 型)――――――――プレクチン
4. 接合部型表皮水疱症 幽門閉鎖合併型――――――――α6β4 インテグリン
5. 栄養障害型表皮水疱症 劣性重症汎発型――――――――17 型コラーゲン

2.4

  1. ✕ ケラチン5.14
  2. ✕ 17型コラーゲン(BP180),ラミニン332
  3. ✕ 

あた238

H30-84R1-56に類題あり

大分類 小分類 遺伝形式 標的蛋白
単純型(EBS) 限局型 AD K5,14
中等症汎発型 AD K5,14
重症汎発型(Dowling-Meara型) AD K5,14
筋ジストロフィー合併型 AR プレクチン
幽門閉鎖合併型 AR プレクチン
外胚葉形成不全・皮膚脆弱性症候群 AR プラコフィリン1
接合部型(JEB) 重症汎発型(Herlitz型) AR ラミニン332
中等症汎発型 AR 17型コラーゲン(BP180),ラミニン332
幽門閉鎖合併型 AR α64インテグリン
栄養障害型(DEB) 優性型   VII型コラーゲン
劣性中等症汎発型 AR VII型コラーゲン
劣性重症汎発型 AR VII型コラーゲン
Kindler症候群 AR キンドリン-1

問題43.図13は表皮有棘層の電子顕微鏡写真である.図の矢印に相当する分子はどれか.2 つ選べ.

1. デスモグレイン
2. デスモコリン
3. デスモプラキン
4. プラコグロビン
5. プラコフィリン

1.2

表皮の構造参照

デスモソームの細胞間のタンパク質を選択すればよい.

プラがついているのもは細胞内.

問題 44.組織球症について正しいのはどれか.

1. Intravascular histiocytosis では皮膚筋炎を伴うことが多い.
2. 多中心性細網組織球症の浸潤細胞は CD68,S100 陽性である.
3. 多中心性細網組織球症ではしばしば進行性多発性関節炎を合併する.
4. Langerhans 組織球症の単臓器単発型ではまず多剤併用化学療法を行う.
5. Langerhans 組織球症の浸潤細胞は S100 陰性,Langerin(CD207)陽性,CD1a 陽性である.

  1. ✕ あた437
  2. ✕ あた480 多臓器型が他剤化学療法.皮膚だけの場合,ステロイド外用や切除なども検討される.国立成育医療研究センター「ランゲルハンス細胞組織球症」参照
  3. ✕ S100陽性

問題 45.色素沈着と色素脱失がみられる疾患はどれか.2 つ選べ.

1. Ashy dermatosis
2. Dowling-Degos 病
3. 網状肢端色素沈着症
4. 遺伝性対側性色素異常症
5. 遺伝性汎発性色素異常症

4.5

R1-60に類題 色素異常症参照

Ashy dermatosis(色素異常性固定紅斑、多発性斑状色素沈着症、色素性薔薇疹)あた312
  • 有色人種の体幹や四肢に小紅斑が多発し,1~3cm大の灰白~灰青色伴となる.
  • 辺縁に紅色性隆起を伴うこともある.
  • 自覚症状はない.まれに掻痒を伴う.
  • 薬剤誘発性や,扁平苔癬の一型として生じることがある.
Dowling-Degoes病
  • 暗褐色の角化性小丘疹と網状色素斑が四肢および体幹にみられる.
  • 思春期移行に発症し進行性
  • 口周囲の陥没性ざ瘡様丘疹などの報告も.
  • 頭髪や爪に異常はみられない.
  • 4種類のサブタイプに分類
    DDD1;KRT5(AD), DDD2;POFUT1(AD), DDD3;chr.17p33.3, DDD4;POGLUT1(AD)

網状肢端色素沈着症

  • ADAM10(AD)
  • 掌蹠に点状の陥凹
  • 褐色斑は認めるが,脱色素斑は認めない.
  • 症状は20歳までには完成し生涯に渡って続く.
遺伝性対側性色素異常症(遠山)(DSH; dyschromatosis symmetrica hereditaria)
  • ADAR1(AD)
  • ADAR1遺伝子変異により皮膚のメラノサイトがアポトーシスされやすくなることにより脱色素斑や反応性の黒色斑が起きるのでないかと言われている.
  • 患部ではメラノサイトが減少している.
  • 四肢末端に褐色斑と脱色素斑
  • 顔面に雀卵斑
  • 6歳頃までに発症し,10歳頃までに完成
  • アジア人に好発
  • 遺伝性汎発性色素異常症,網状肢端色素沈着症,Dowling-Degoes病との鑑別が必要.(R1-60
遺伝性汎発性色素異常症(DUH; dyschromatosis Universalis Hereditaria)
  • DSHの褐色斑と脱色素斑が全身に認める.
  • 3つのサブタイプに分類.
    DUH1;chr.6q24.2-q25.2(AD),DUH2;chr.12q21-q23(AR),DUH3;ABCB6(AD)

問題 46.OCA4 型について正しいのはどれか.

1. 常染色体優性遺伝性疾患である.
2. P 蛋白の遺伝子の異常により生じる.
3. ほとんどの症例でチロシナーゼ陰性である.
4. 核膜表面に存在する蛋白の異常が発症要因である.
5. 眼皮膚白皮症の中で日本人で 2 番目に頻度の高い型である.

5が正解であったが,現在は正解なし

色素異常症眼皮膚白皮症診療ガイドライン参照

  1. ✕ 常染色体劣性遺伝.
  2. ✕ OCA2型がP蛋白
  3. ✕ チロシナーゼはOCA1型
  4. ✕ メラノソーム膜表面の輸送蛋白の一種であるMATPの異常が原因.
  5. ○→✕ 2008年のデータ(Suzuki T et al. J Dermatol Sci. 2008 Jul;51(1):1-9.)ではOCA1>OCA4>HPS1>OCA2であったが,2021年に発表されたデータ(Okamura K et al. Pigment Cell Melanoma Res. 2021 Mar;34(2):190-203.)では,OCA4>OCA1>HPS1>OCA2となりOCA4とOCA1の順位が逆転した.ガイドラインと齟齬が生じるので,ガイドラインが改定されるまでは順位を問う問題は出ないと思われる.(このデータが発表されたときに,専門医試験委員のとある先生が2020年の専門医試験の解答なくなっちゃうな...とぼやいていたとの情報あり.)
メラノソームの模式図

問題 47.掌蹠膿疱症について誤っているのはどれか.

1. グセルクマブは保険適用である.
2. エトレチナートは保険適用である.
3. カルシポトリオールは保険適用である.
4. 皮膚科光線療法の中波紫外線療法が算定できる.
5. 皮膚科特定疾患指導管理料(I)の対象疾患である.

3

  1. ○ 適応;乾癬群(尋常性乾癬,膿疱性乾癬,乾癬性紅皮症,関節症性乾癬),魚鱗癬群(尋常性魚鱗癬,水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症,非水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症),掌蹠角化症,ダリエー病,掌蹠膿疱症,毛孔性紅色粃糠疹及び紅斑性角化症,口腔白板症,口腔乳頭腫及び口腔扁平苔癬.
  2. ✕ カルシポトリオール(ドボネックスⓇ)は尋常性乾癬にのみ適応.R1-99に類題
    マキサカルシトール(オキサロールⓇ)は尋常性乾癬,魚鱗癬群,掌蹠角化症,掌蹠膿疱症に適応.
  3. ○ 乾癬、類乾癬、掌蹠膿疱症、菌状息⾁腫(症)、悪性リンパ腫、慢性苔癬状粃糠疹、尋常性⽩斑、アトピー性⽪膚炎⼜は円形脱⽑症に保険適応.

問題 48.55 歳の男性.約 1 年前に下腿伸側の外傷部位に発赤と潰瘍形成がみられ,徐々に拡大してきている(図 14).真菌培養,抗酸菌培養は陰性.生検を行ったところ,真皮全層に好中球の稠密な浸潤がみられた.この疾患の合併症として頻度の高いのはどれか.

1. 腎不全
2. 急性膵炎
3. 潰瘍性大腸炎
4. 甲状腺機能低下症
5. 閉塞性動脈硬化症

3

壊疽性膿皮症 あた176

炎症性腸疾患,大動脈炎症候群,血液疾患,関節リウマチなどを合併する.

問題 49.薬剤性過敏症症候群(DIHS)の原因として報告されている薬剤のうち腎障害に最も注意すべきものはどれか.

1. ラモトリギン
2. ミノサイクリン
3. アロプリノール
4. クロルプロマジン
5. フェノバルビタール

3

  • アロプリノールが原因の場合には、腎機能障害の程度が強いことが多い.
  • ジアフェニルスルホンが原因の場合には、黄疸を認めることが多い。
  • カルバマゼピンが最多.

問題 50.28 歳の女性.図 15 に示す臀部の褐色斑を主訴に来院した.生理の度に赤くなってかゆみを感じるとのこと.原因を明らかにするためにまず実施すべきものはどれか.

1. 抗真菌薬を外用させる.
2. 血中プロゲステロンを測定する.
3. 口腔内を診察し,歯科金属の有無を確認する.
4. 使用している生理用品を用いたパッチテストを行う.
5. 生理の時に痛み止めを内服していないか問診で確認する.

5

固定薬疹

R1-61に類題

アセトアミノフェン,イブプロフェン,カルボシステイン,メフェナム酸,アリイソプロピルアセチル尿素,エテンザミド,ミノサイクリンの固定薬疹の報告が多い.

問題 51.蕁麻疹診療ガイドライン 2018 では,「特発性の蕁麻疹に対する薬物治療手順」が改定された.このうち Step 3 として使用される薬剤のうち,副腎皮質ステロイドに関しては,「プレドニゾロン換算量<0.2 mg/kg/日)」という具体的な投与量に加えて,注釈がつけられている.副腎皮質ステロイドのみに付された注釈として正しいのはどれか.

1. 既存治療で効果不十分な患者に限る.
2. 蕁麻疹に対する健康保険適応は未承認.
3. 速やかに症状の軽減を図ることが必要な場合.
4. 1 か月以上減量または中止の目処が立たない場合は他の治療への変更を考慮する.
5. 皮膚科専門医またはアレルギー専門医が,当該施設で,あるいは近隣医療機関と連携して,喘息,アナフィラキシー等の有害事象に対応できる体制のもとで使用する.

蕁麻疹診療ガイドライン2018 2513図2参照 2020年東部講習会,2020年必修冬のスライドにも記載あり.

  1. H2拮抗薬,抗ロイコトリエン薬,ジアフェニルスルホン,シクロスポリンの記載
  2. Step1からStep3に(Step2をskipして)いく場合の記載.
  3. オマリズマブの記載

問題 52.30 歳の男性.3 月に北海道へ旅行に行った時,鼻汁・くしゃみなどを生じたことがあった.数日前にリンゴを摂食した時に口唇から口腔粘膜にしびれ感を生じた.この症状の原因として可能性が最も高いアレルギーコンポーネントはどれか.

1. Ara h 2
2. Bet v 1
3. Gly m 4
4. Cry j 1
5. Der f 1

2

2020年必修(冬)からの出題

北海道では,本州と違いスギ花粉の分布が一部のかぎられていて,主な花粉はハンノキ,シラカバ,イネ科,ヨモギなどがあげられる.このうち,りんごなどと交差する花粉-食物アレルギー症候群はシラカバ(Bet v1)ハンノキ(Aln g1)となり,2が正解.

  1. ピーナッツ
  2. シラカバ
  3. 大豆
  4. スギ
  5. コナヒョウダニ
Bet v1関連タンパクによる花粉ー食物アレルギー症候群

食物アレルギー参照

  • カバノキ科(シラカンバ,ハンノキ)花粉の感作の9割がBet v 1で,Bet v1関連タンパク(Pathogenesis-related protein type10: PR-10)との交差反応が見られる.
  • PR-10はバラ科の果物(サクランボ,リンゴ,モモ,ビワな,ナシ)との交差に注意が必要.
  • 抗原は加熱などで失活しやすいのでImmunoCAPで偽陰性になることがある.
  • PR-10によるPFASを疑った場合は特異的IgE検査のGly m 4が保険収載されているので,これを調べてみると陽性になることが多い.

問題 53.薬剤と関連性の高い薬疹病型の組み合わせで正しいのはどれか.

1. カルボシステイン(ムコダインⓇ)―――――――――― ANCA 関連血管炎
2. ピルフェニドン(ピレスパⓇ)―――――――――― 光線過敏症
3. ビルダグリプチン(エクアⓇ)―――――――――― DIHS
4. プロピルチオウラシル(チウラジールⓇ)―――――――――― 水疱性類天疱瘡
5. ロクロニウム臭化物(エスラックスⓇ)―――――――――― 固定薬疹

2020年必修からの出題.

  1. ✕ ムコダインは固定薬疹
  2. ○ 光線過敏はニューキノロン系の抗生剤や,ボリコナゾール,MTX,ヒドロクロロチアジドとの合剤の降圧薬で多い.
  3. ✕ DDP-4阻害薬は水疱性類天疱瘡
  4. ✕ 抗甲状腺薬はMINOとともにANCA関連血管炎や薬剤性血管炎を引き起こす.
  5. ✕ エスラックスはアナフィラキシー

問題 54.小児の Stevens-Johnson 症候群の原因として薬剤以外に最も多い原因はどれか.

1. Epstein-Barr ウイルス
2. ワクチン接種
3. マイコプラズマ
4. 溶血性連鎖球菌
5. 単純ヘルペスウイルス

3

形滲出性紅斑 スティーヴ ンス・ジョンソン症候群・中毒性表皮壊死症 診療ガイドライン参照

問題 55.ATP2A2 遺伝子変異により発症する常染色体優性遺伝性疾患にみられる所見はどれか.

1. 難聴
2. 視力障害
3. 皮膚の過伸展性
4. 弾性線維の変性とカルシウム沈着
5. 脂漏部や間擦部の角化性丘疹の多発

Darier病 あた279

通常は10~20歳ごろ発症.角化細胞に発現するカルシウムポンプ(SERCA2)をコードするATP2A2遺伝子変異の常染色体優性遺伝疾患.
夏は発汗により悪化.暗褐色の角化性丘疹が多発して,癒合して局面形成.病理は棘融解や絨毛形成をする点でHeilay-Heilay病(あた246)と似ているが,鑑別点としては,Darier病は角化性病変であり,異常角化が強く,顆粒体や,円形体が目立つ.Heilay-Heilay病は難病指定ではあるが,Darier病は難病指定ではない.

H30-記1

問題 56.正しいのはどれか.2 つ選べ.

1. 遺伝性皮膚疾患とは通常,多因子遺伝病も含む.
2. ヒトゲノム中に約 22,000 個の遺伝子が存在する.
3. 現在の出生前診断は,胎児皮膚生検が主流である.
4. 常染色体優性遺伝では,経験的危険率が推定できる.
5. 絨毛生検(胎児由来の胎盤絨毛を採取)は,妊娠 10 週頃に可能である.

1.5

  1. ✕ ヒトゲノム中のタンパク質をコードする遺伝子が約22000個.正解は約30億個.
  2. ✕ あた578 胎児皮膚の形成がほぼ完成する妊娠19週頃から施行可能であり,エコー下で胎児の位置を確認し,数mmパンチで生検する方法だが,現在は主な遺伝子疾患の原因遺伝子が解明されており,ほとんど行われていない.
  3. ✕ あた577 メンデルの法則に従う危険率は,理論的危険率.遺伝形式,疾患の浸透度,突然変異率などを考慮して家系図などから統計的に計算するのが経験的危険率.
  非確定検査 確定検査
検査名 NIPT(母体血胎児染色体検査) コンバインド検査 母体血清マーカー検査 絨毛検査 羊水検査
実施時間 10週以降 11〜13週 15〜17週 11〜14週 15〜16週以降
検査の対象 ダウン症候群
トリソミー18
トリソミー13
ダウン症候群
トリソミー18
ダウン症候群
トリソミー18
神経管閉鎖障害
染色体疾患全般
感度 99% 83% 80% 100%
結果報告までの期間 2週間 2週間程度 2〜3週間
リスク なし 流産・死産のリスク(1/100(絨毛)〜1/300(羊水))

問題 57.疾患に関係する分子が同一である疾患の組み合わせとして,正しいのはどれか.

1. Darier 病 ――――――― 肥満細胞症
2. 水疱性膿痂疹 ――――― 類天疱瘡
3. 単純型表皮水疱症 ――― 尋常性天疱瘡
4. Herlitz 型表皮水疱症―― 落葉状天疱瘡
5. 栄養障害型表皮水疱症 ― 後天性表皮水疱症

5

  1. Darier病 あた279 角化細胞に発現するカルシウムポンプ(SERCA2)をコードするATP2A2遺伝子変異の常染色体優性遺伝疾患.
    肥満細胞症 あた441 Darier徴候のひっかけ 全身型はKIT遺伝子変異による.トルイジンブルーで肥満細胞は青ではなく赤紫色の異染性をしめす.
  2. 水疱性膿痂疹
    水疱性膿痂疹やSSSSは,ブドウ球菌の表皮剥離毒素(exfoliative toxin; ET)によりデスモグレイン1が分解されることによって,水疱を形成する.落葉状天疱瘡であれば正解.新・皮膚科セミナリウム 4.毒素関連皮膚細菌感染症 2020 年 130 巻 11 号 p. 2367-2372参照
  3. 単純型表皮水疱症 あた239 皮膚の構造参照 K5,14,プレクチン,プラコフィリン
    尋常性天疱瘡 あた249 デスモグレイン1,3
  4. 接合部型表皮水疱症の重症汎発型 あた241 ラミニン332
    落葉状天疱瘡 あた253 デスモグレイン1
  5. ○ 栄養障害型表皮水疱症 あた243 7型コラーゲン
    後天性表皮水疱症 あた260 7型コラーゲン

問題 58.37 歳の男性.20 歳頃より図 16a,b に示すような皮膚症状を呈している.全身精査では,内分泌異常や腫瘍性病変を認めない.患者の両親はともに非罹患者である.本疾患について正しいのはどれか.2 つ選べ.

1. 伴性劣性遺伝形式を示す.
2. 国の指定難病の 1 つである.
3. 乏汗症を呈することが多い.
4. 皮膚以外に明らかな異常を呈さない.
5. 病理組織学的には,真皮の肥厚と脂腺の過形成を認める.

2.5

  1. 常染色体優性と劣性の遺伝形式
  2. ✕ 脱毛はきたす.
  3. 骨肥大がおこる

肥厚性皮膚骨膜症 あた343 小児慢性特定疾患情報センター肥厚性皮膚骨膜症参照

  • 脳回転状皮膚の遺伝性疾患
  • 時計皿爪(ばち状指),骨膜性骨肥厚,皮膚の肥厚性変化の3主徴
  • 常染色体優性遺伝と常染色体劣性遺伝のものがある.
  • 常染色体劣性遺伝のものは,プロスタグランジンの代謝や輸送に関わるHPGDSLCO2A1遺伝子変異による.
  • 国の難病指摘

問題 59.69 歳の女性.心筋梗塞の既往があり,眼科で網膜血管線条を指摘されている.本患者の頚部と腋窩の臨床写真を図 17a,b にそれぞれ示す.皮膚生検組織のパラフィン切片を用いた染色法の中で,本疾患の診断のために有用なのはどれか.2 つ選べ.

1. コッサ染色
2. コロイド鉄染色
3. コンゴーレッド染色
4. トルイジンブルー染色
5. エラスチカ・ワンギーソン染色

1.5

弾性線維性仮性黄色腫 あた353 弾性線維性仮性黄色腫ガイドライン組織染色参照

沈着したカルシウムがコッサ染色により黒褐色に染まる.

  1. ○ 沈着した石灰が黒褐色に染まる.
  2. ✕ ムチンや多糖類が青色に接触する.
  3. ✕ アミロイドが赤色に染まる
  4. ✕ 肥満細胞が異染性をしめして赤紫に染まる.
  5. ○ 変性した弾性線維が観察できる.

問題 60.コレステロール値が正常でトリグリセリド値が高い高脂血症患者に最も関連性の高いのはどれか.

1. 腱黄色腫
2. 扁平黄色腫
3. 眼瞼黄色腫
4. 結節性黄色腫
5. 発疹性黄色腫

5

発疹性黄色腫 あた323

  • 直径5mm以下の小型の黄色調丘疹が殿部,肩,四肢伸側に多発.
  • 通常は掻痒を伴う.
  • 高トリグリセリド血症(Ⅰ,Ⅳ,Ⅴ型)に伴う.
  • 糖尿病などに続発して生じることもある.
  • 脂質異常症が是正されれば数週間で消失する.
結節性黄色腫 腱黄色腫 扁平黄色腫 眼瞼黄色腫 発疹性黄色腫 疣状黄色腫
肘,膝など四肢伸側や手足の関節に5mm~数cm大の隆起を伴う赤色~黄色の硬い結節 アキレス腱,手足,膝の腱が腫瘤状に. ほとんど盛り上がらない黄色調の変化 扁平隆起性で上眼瞼の内眼角に生じる

直径5mm以下の小型の黄色調丘疹が殿部,肩,四肢伸側に多発

口腔内や口唇,外陰部に好発.黄色から赤色調でドーム状~有茎性,表面が顆粒状の小結節.
高Chol(Ⅱ型) 高Chol(Ⅱ型) 高Chol(Ⅲ型),先行皮膚病変の続発 高Chol(Ⅱ,Ⅲ型) 高TG(Ⅰ,Ⅳ,Ⅴ型) 血中脂質は正常
  若年性白内障や神経症状を伴う場合は脳腱黄色腫症(AR)を考慮する.   約半数で高Cholを伴う 糖尿病に続発して生じることがある. 真皮乳頭,乳頭下層に脂質を豊富に含んだ多数の泡沫細胞の浸潤をみる.

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