黒色真菌感染症

皮膚科専門医試験対策

黒色真菌感染症

細胞壁にメラニンを有し,培養すると黒色調のコロニーを形成する真菌を総称して黒色真菌という.

  • 黒色分芽菌症(クロモマイコーシス chromomycosis,クロモブラストミコーシス chromoblastmycosis)
  • 黒色菌糸症(フェオフィフォミコーシス pheohyphomycosis)
  • 菌腫 mycetoma

の3種に分類されるが,黒色分芽菌症とフェオフィフォミコーシスをまとめて黒色分芽菌症と呼んだりり,この2つを黒色真菌症といったりする文献もあり,用語の使い方は一定していない.

黒色真菌の産生する色素はメラニンでフォンタナ・マッソン染色陽性.

Fonsecaea, Exophilia, Cladosporium, Phialophoreaの4種がヒトに病原性をもつ黒カビでこれらが原因になることが多い.

感染症病理アトラス(黒色真菌感染症)参照.

黒色分芽菌症(クロモマイコーシス chromomycosis,クロモブラストミコーシス chromoblastmycosis)

chromo(色素)mycosis(真菌症)という名の通り,色素をもった真菌症ということでchromomysosisと名付けられた. 真菌はHE染色で,sclerotic cellという褐色・球形の胞子状有色真菌としての像がみられ,菌糸を持たないことが特徴.(逆にsclerotic cellがなく,菌糸をみとめるものをフェオフィフォミコーシスと分類する.) だたし,スライドカルチャーで培養すると菌糸は形成するので注意.

  • 土壌や腐食植物に生息し,軽微な外傷によって伝播.
  • 中高年の男女の露出部,特に下肢に好発.
  • Fonsecaea monophoreaによるものが最多.Fonsecaea pedrosoi, Phialophora verrcosa, Cladosporium carrioniiなどが原因.
  • 疣状皮膚炎とも呼ばれる.
  • 皮疹は小丘疹が遠心性に拡大して表面細顆粒錠になるとともに,娘病変が一次病変と癒合して地図状局面をつくる.
  • 潰瘍化は少なく無痛性.
  • 病理は,化膿性肉芽腫性病変が表皮直下から真皮下層に及ぶが,皮下組織は侵さない.
  • 褐色・球形で厚い細胞壁を有するsclerotic cellが胞子状有色真菌として認められるのが特徴.muriform cellとも呼ばれる.

黒色菌糸症(フェオフィフォミコーシス pheohyphomycosis)

pheo(褐色)hypho(菌糸)mycosis(真菌症)の名称通り,褐色の有隔壁性菌糸を認める.

黒色分芽菌症と菌腫を除く色素性菌糸の病型がこれに該当する.

  • sclerotic cellがなく,菌糸をみとめる点で黒色分芽菌症と鑑別する.R1-39
  • 免疫不全患者に多い.
  • Exophilia dermatotidis, Exophilia jeanselmeiなどが原因菌

菌腫 mycetoma

  • 顆粒 grainを伴う局所的な慢性炎症性皮下腫瘤が特徴.
  • 黒色顆粒 black grainsは肉眼可視可能で,しばしば皮膚の瘻孔から自然排出される.
  • マズラ足とも呼ばれる.
  • 病理は皮下組織に多数の黒色真菌の1-2mmの小塊(顆粒 grains)が散在し,これを中心に小潰瘍,異物巨細胞反応,黄色肉芽腫が形成される.
  • Phialophora jeanselmei, Madurella mycetomi, Madurella griseaなどが原因.

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